坂東祐大が語る、ジョルディ・サヴァール
古楽界を半世紀近くにわたって牽引してきたヴィオラ・ダ・ガンバ奏者、指揮者のジョルディ・サヴァールの来日公演が決まりました。ガンバとは脚という意味でヴィオラ・ダ・ガンバというのは直訳すると脚のヴィオラという意味(サッカーチームのガンバ大阪と同じ意味)。
名前の通り、脚に挟んで弾く弦楽器です。見た目はヴィオラよりもチェロに似ていますが、歴史はチェロより古く、楽器の系統も厳密には違って、弦の本数なども違います。ルネサンス~バロック期にヨーロッパ全土に普及し、主に祭事や歌の伴奏に使われ、優雅な響きを持つ楽器として、宮廷やサロンで演奏されたようです。
サヴァールは最初、チェロを勉強していたそうですが、ヴィオラ・ダ・ガンバに転向。スイスのバーゼルにあるスコラ・カントルムという古楽の総本山となる学校で研鑽を積みます。パリやロンドンやブリュッセルなどヨーロッパ各地の図書館で古い文献を漁り、手書きの楽譜を頼りに奏法の研究に没頭されていたそうです(またその資料は今現在もスコラに残っているとのこと)。
ガンバ奏者としても素晴らしい演奏を繰り広げる一方で、知られざる作品の発掘、キュレーションも積極的にされていて、エルサレムをテーマにしたブックCDを聴いた時は、思わず「こういう音楽もやるの⁉」と、あまりの音楽的な幅広さに、衝撃を受けました。
フランシスコ・ザビエルの生涯を音楽で辿る『東洋への道』プロジェクトでは日本の音楽もキュレーションし、尺八や琵琶とも共演される一方で、指揮者としてモーツァルトやベートーヴェンも演奏するほどレパートリーが幅広い。サヴァールの音楽への底知れない探究心を今回の来日公演でも存分に堪能することができるのでは、と今から楽しみです。