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聴くときっとカレーが食べたくなります。『Music Fuh Ya』タージ・マハール。バラカンが選ぶ夏のレコード Vol.7

ピーター・バラカンが選ぶ32枚のレコードストーリー。「ピーター・バラカンがオーナーのリスニングバー〈cheers pb〉で夏にかけるレコードの話を聞きました」も読む

illustration: TAIZO / text: Kaz Yuzawa

『Music Fuh Ya』Taj Mahal(1977年)

聴くときっとカレーが
食べたくなります。

このアルバムは僕の生涯の愛聴盤の一枚です。その意味では前回取り上げるべきだったかもしれませんが、“夏”にピッタリのアルバムでもあるので、今思えば、この特集にとっておいて結果的によかった!

タージ・マハールはデビュー以来ずっと所属していたコロンビアから1976年にワーナー・ブラザースへ移って『Music Fuh Ya』は移籍第1作に当たります。このアルバムでは思いっ切りトロピカルなイメージを押し出して、スティール・パン奏者のロバート・グリーニッジをゲストに迎え、全編カリブ海を思わせる爽やかな夏のレコードに仕上げています。

「The Four Mills Brothers」というカリプソの曲や、釣りのリゾートとして有名なハバナのウォーカーズ・ケイのことを歌った「Sailin' In−to Walker's Cay」など、実に楽しそうにカリブを満喫してる印象です。彼は父親がカリブのセント・クリストファー島出身のピアニストだったので、幼い頃からカリブの音楽には馴染んでいたのだろうと思います。

タージ・マハールは大ヒット曲こそありませんが、次の世代への影響力がとても大きくて、ケブ・モウやコーリー・ハリスといったブルーズっぽいシンガーにとってはメンターのような存在になっています。その意味では、アメリカのミュージック・シーンの重要人物の一人と言えますね。

だからというわけではありませんが、このタージ・マハールという名前の由来はどうやら夢のお告げだったようです。「Taj Mahal」でグーグル検索すると、彼の項目が出てくるのは当然、世界遺産の次です。ちなみに本名はヘンリー・セントクレア・フレデリックス。ま、こちらはこちらで立派すぎるかもしれませんが。

僕がクラブクアトロでライヴを観たときには、なぜかエレクトリック・ピアノをずっと弾いていて「え、タージ・マハールってピアノも弾くの?」と驚きました。僕としてはナショナルの金属ボディのギターを弾いてほしい気持ちもあってちょっと残念でしたが、とにかくいろいろな楽器を弾く芸達者でもあります。

Taj Mahal

side B-4:「Curry」

「ニッポンの夏、カレーの夏」です(笑)。歌詞はカリィの一言だけ。ほとんどインストゥルメンタルのような曲ですが、まさに夏の一曲だと思います。彼は後にハワイに住むのですが、スティール・パンが効果的に使われているこの曲には、ハワイの夏っぽい爽やかなニュアンスも感じられます。