Watch

Watch

見る

私が映画を観て沁みた時の話。タレント・奥森皐月

あの日あの時、観終えた後に感情が大きく動いた忘れられない一作。タレント・奥森皐月が語る、胸に沁み入る物語に出会った時の記憶。

photo: Yu Inohara / text: Kohei Hara

連載一覧へ

夢を追い続ける難しさと、人を笑わせることの美しさ

実りゆく

芸能事務所タイタンのマネージャーさんが監督を務めていて、メインキャストはタイタン所属のお笑いコンビ〈まんじゅう大帝国〉。元から漫才に惚れ込んでいた芸人さんだったこともあり、こんなにファミリー感のある座組みがあるんだ!と興奮しながら映画館に行きました。

竹内一希さん演じる主人公の実(みのる)が、お笑い芸人を目指すか、実家のリンゴ農園を継ぐかの選択を迫られる物語。私自身は3歳から芸能活動をしていて、自分はとても恵まれた環境にいると日頃から感じていますが、将来を考えて芸能の道から離れていった友人たちの姿も見てきました。

夢を追いたい気持ちだけでは、どうにもならない時もある。そんな現実的な描写に深く感情移入しました。あと映画終盤で出てくる漫才シーンは、笑いながら泣ける。これはすごいことだと思います。

映画『実りゆく』
©「実りゆく」製作委員会

最初は警戒心を持っていた観客が、徐々に前のめりになっていく光景は、私がライブでお笑いを観る際にも一番グッときます。それも、主人公の苦悩や葛藤があってこそだから、笑いが泣きにつながる。目の前の人を笑わせるって、美しい行為だなと再確認した映画でした。

タレント・奥森皐月

連載一覧へ