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言葉を失うパノラマ山ビュー。秘境度満点のリゾートホテル3選

リゾートの醍醐味は、そこへ一歩足を踏み入れた瞬間に“いかに非日常の世界へ飛べるか”だ。優れたリゾートが“楽園”と称されるのは、計算し尽くされた眺望や空間、洗練された食事と酒、ホスピタリティに満ちた接客、そのすべてがあるから。この記事では「Mountain View」をキーワードに、ラグジュアリーリゾートを紹介する。

初出:BRUTUS No.845『旅に行きたくなる。』(2017年4月15日発売)

photo: Mai Kise, Madoka Sakamoto / text: Hikari Torisawa, Yoko Fujimori, Hiroko Yabuki, Tomoko Oishi, Akiko Yoshikawa, Mamiko Izutsu / edit: Yoko Fujimori

シックスセンシズ青城山(中国/成都)

霧に包まれた絶景は、まるで水墨画の世界

中国の3大宗教に数えられる道教発祥の地として知られ、古くから道教にまつわる建造物が多く建てられてきた青城山。世界遺産にも登録されたこの山の麓に、〈Six Senses Qing Cheng Mountain〉が2016年にオープンした。

ウェルカムパビリオンのテラスに到着すると、霧をまとって稜線を重ねる青城山の姿にまず息を呑み、敷地内のどこにいても、目を上げればそこにある山の気配に癒やされる。113のヴィラが並ぶ敷地には、オーガニックガーデンが造られ、周囲を緑が囲み、プールやスパ、レストランなどの施設にも、自然との距離を近づけるための工夫が施されている。

中国〈シックスセンシズ チンチェンマウンテン〉アフタヌーンティー
茶館でのティーセレモニー。宿泊ゲストには無料で提供される。茶葉や茶器の物販も。

稜線を重ねる青城山に見守られ、自然を愛(め)でるエコリゾート

成田空港から6時間のフライトを経て辿り着いたその場所は、四川省成都。『三国志』にも書かれた蜀の都だ。原生林や渓谷がそのまま残された自然の中、道教にまつわる建造物が多く立つ青城山。15km2の範囲に広がる前山と、100km2に及ぶ後山から成る世界遺産。成都平原の北西に屹立する名山の麓に誕生した、〈シックスセンシズ青城山〉を訪れた。

竹林に囲まれた敷地には、四川地方の建築様式を取り入れた大小の建物が点在し、背景に広がる稜線と美しい対照を描き出す。リゾートで過ごす時間を鮮やかに彩るのは、レストラン、バーにスパやプール、そして広大な庭。朝日で目を覚ましたら、〈ファーム・トゥ・フォーク〉で自家栽培の野菜やハーブを使った料理を楽しもう。

近隣の古刹や〈パンダセンター〉を訪ね、スパでリラックスし、茶館で中国茶のセレモニーを体験し、思い思いの時間を過ごしたあとは、四川料理と中国各地の郷土料理を振る舞う〈28ゾディアック〉や、タイ人シェフによるタイ料理を提供する〈サラタイ〉で本場の味に舌鼓。〈ムーンバー〉に足を運んでオリジナルカクテルを飲み比べるのも一興だ。

土曜日のディナータイム限定で、ゲストが料理代金を決める「Pay as you please」もスタートした。同じテーブルに集った人と交流するも楽し、日曜日に開催されるファーマーズマーケットで地元の食材について学ぶもよし。水墨画のように美しい山々に見守られ、新しい景色を作り出す〈シックスセンシズ青城山〉には、自然と触れ合い、自然を慈しむ、くつろぎの時間が満ちている。

ANANTARA AL JABAL AL AKHDAR RESORT(オマーン/ニズワ)

標高2,000m、荒々しくも幻想的な渓谷を一望

ドバイやアブダビに続いて、ラグジュアリーなリゾートホテルが増えているのがオマーン。中東といえば砂漠を連想しがちだが、〈アナンタラ・アル・ジャバル・アル・アフダル・リゾート〉が位置するのは標高2,000mの崖の上!

ここハジャール山脈は2,000~3,000m級の岩山が連なり、1986年にダイアナ妃とチャールズ皇太子もヘリコプターでこの地を訪問。その後、オマーン政府の意向を受けて同じ場所にホテルが建設され、2016年にオープンした。全33のヴィラにはプライベートプールがあり、渓谷かプライベートガーデンの眺望を楽しめる。

また、渓谷のトレッキングや登山、星空観賞、絶景の中で大地と一体になれるヨガなど、アクティビティも充実。〈アナンタラ スパ〉では、地元特産のバラを使ったスパトリートメントが受けられる。荘厳で荒々しく、どこまでもスケール感の大きい“中東のグランドキャニオン”に誕生した、ラグジュアリーな空間。まさにオアシスのようなリゾートだ。

il sereno. LAGO DI COMO(イタリア/コモ)

バカンスシーズン限定、コモ湖畔の楽園

ヨーロッパ屈指の避暑地であるコモ湖。湖畔にある17世紀のヴィラを改装し、2016年にオープンした。4月から10月頃のベストシーズン限定の営業で、オールスイート30室。全室にプライベートテラスが付いているため、湖とそれを取り囲む山々の眺望を独り占めできる。

インテリアを手がけたのはミラノの人気デザイナー、パトリシア・ウルキオラ。1950年代を彷彿とさせるシックなインテリアは、湖と山々との親和性も高い。屋外にある18mのインフィニティプールはコモ湖初。湖の水面と繋がっていくよう色調やデザインにこだわった設計となっている。