山を買ってバイクを楽しむ。埼玉〈オラガバレー〉は、多くのライダーを迎え入れるパラダイスパーク

広さは東京ドーム3個分。バイク乗りが心から楽しめるパークをつくりたいと、埼玉・飯能の山を買い取り、木を切り、道をつくり、作業を進めるひとりのバイク乗りがいる。

Photo: Susumu Takahashi / Text: Kazuyuki Ozawa

昨今のアウトドアブームの中、誰にも邪魔されない自分だけのプライベートキャンプエリアをつくるために、山を購入してしまう強者がいるというニュースを目にする中、友人からこんな情報が舞い込んできた。

「知り合いがね、気兼ねなくバイクで遊べるようにと埼玉の飯能に山を買って、仲間たちで開墾作業やってるんですよ」

また、ここにも強者登場。なぜバイクのために山を買ってしまったのか?現地も見たいし話も聞いてみたい。開墾作業も一段落し、2022年1月8日にオープンしたばかりだという飯能のオラガバレーに、とりあえずワークブーツを履き、軍手を持って行ってみた。

なぜバイクを楽しむのに、
山を買う必要があるのか?

「まだまだ作業は続いていますが、ようやく形になってきました。今はちゃんとクルマを止めるスペースもできていますが、もともと平らなところなんてなかったんです」と迎え入れてくれたのは、入間でオートバイショップを営む伊藤高史さん。

「もともと林道に入って、不整地をトライアルバイクで走ることが好きだったんです。自然の中を走る楽しさをバイク乗りの人達にも体験してもらいたい。

でも、昔と今じゃ環境も変わって、走りたいと思った山に、闇雲に入るわけにはいかないんですよね。だったら自分が山の持ち主になって、入山許可を出しちゃえばいい。そんな思いをずっと持っていて、数年前から本格的に場所を探し始めて、ようやくここに辿り着きました」

斜面ばかりの山の地形を調べ、
ユンボで夢のパークをつくる

「今でこそ車にバイクを積んで入ってこられますが、初めのころはここで何ができるのかってほどの、“ただの山林”でした。だけど、たくさんの土地や地図を見ていくうちに、地形がわかってきたり、どう切り拓けば楽しく遊べる場所になるか、だんだんと想像がつくようになってきたんです」

ユンボを操り、チェンソーを自在に使いこなす伊藤さん、オラガバレーの進化はまだまだ終わらないと語る。

世界レベルのトップライダーを招聘し、
コースデザインやスクールを依頼

「正式オープン前から知人やその仲間たちに来てもらい、開墾(コースづくり)の助言をいただいていました。その中のひとりが現在スクールのインストラクターをやっている、全日本トライアル選手権国際A級ライダーの本多元治さんなのです。

世界選手権のコースも監修する本多さんからアドバイスをもらい、初心者からベテランまで、どんなレベルのライダーでも楽しめるエリアにする予定です。

今私が走る時間はほとんどありませんが、かつて自分が楽しんだ自然の中での走りを、多くのライダーが体験してくれればいいなって思っています。ぜひバイク持参で遊びに来てください(笑)」