井上陽水の名曲をKing Gnuが歌う⁉
トリビュートは組み合わせの妙が聴きどころ
名曲たちをアップデートした傑作アルバム
大物アーティストや作詞家・作曲家を敬愛するアーティストが一堂に会し、愛の込められたカバーを披露するトリビュート盤。
ユーミンのトリビュート盤でスピッツが「14番目の月」を歌っていたり、意外な影響を知ることができたりするのも面白い。
またプロデューサーの手腕次第で、思わぬ傑作が生まれることもある。『風街に連れてって!』のプロデュースを担当した亀田誠治は女優・池田エライザを起用。
薬師丸ひろ子の曲を全く違うアプローチで再生させ、今の聴き手に響くカバーに仕上げている。トリビュート盤は、世代間をつなぐ役割も担っているのだ。
『風街に連れてって!』
松本氏の「風街ソング」をおのおのが新解釈でカバー。池田エライザが独特のウィスパーボイスで歌う「Woman“Wの悲劇”より」は妖艶さも漂い、この曲に新たな生命を吹き込んだ。2021年。
『Queen's Fellows yuming 30th anniversary cover album』
ユーミンデビュー30周年記念盤。スピッツ、陽水、原田知世などが並ぶ中、1999年に椎名林檎がカバーした「翳りゆく部屋」も再録。パンクでもあり絶品。2002年。
『言葉にできない 〜小田和正ベストカバーズ〜』
槇原敬之、矢野顕子、鈴木雅之ら豪華メンバーが歌う小田ワールド。ヒット曲に偏らず「僕等の時代」などオフコース時代の隠れた名曲もチョイス。2011年。
『なかにし礼と12人の女優たち』
12人の女優に自作を歌わせ、自分で自分のトリビュート盤をプロデュース。そんなことができるのはなかにし氏だけ。大竹しのぶが熱唱する「人形の家」など、選曲と人選が絶妙。2015年。
『井上陽水トリビュート』
陽水デビュー50周年を記念し、King Gnuから細野晴臣まで新旧15組が陽水作品をカバー。本家の歌唱力も半端ないが、宇多田ヒカルが歌う「少年時代」はエバーグリーンな名曲をより純化。2019年。