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モードな虫図鑑。角のある昆虫の王様からの、珍種選抜。カブトムシ5種類を紹介

ギラギラ、トゲトゲ、モジャモジャ……。なにゆえに自然の摂理とやらは、こんなにも珍妙なデザインの昆虫たちを生み出したのか。人知を超えた造形美を、まずはとくとご覧あれ!標本制作/福井敬貴

Photo: Tetsuya Ito / Text: Shogo Kawabata

Rhinoceros Beetle(カブトムシ)とは?

1990年代末の法改正により、カブトムシの生体を輸入できるようになったことで様々な外国産カブトムシを見ることができるようになった。そんな中から、縦に長く角を伸ばしたタテヅノカブトなど、どうにも戦いの役に立つとは思えない、珍妙な角を持つカブトムシを集めてみた。

オオツヤヒサシサイカブト
Megaceras stuebelii

オオツヤヒサシサイカブト(Megaceras stuebelii)
ブラジルに分布する、量感に溢れる胸角を持ったサイカブトの一種。その迫力とは裏腹に、形状はさほど戦いに向いていない。さらに、サイカブトは脚が短く、あまり踏ん張りが利かない。標本体長85㎜。

キキメカタテヅノカブト
Golofa xiximeca

キキメカタテヅノカブト(Golofa xiximeca)
メキシコに分布するタテヅノカブトの一種。その角は巨大な丁髷(ちょんまげ)のように上に伸びており、戦いにはまるで役に立たない。しかし、発達した前脚を鞭(むち)のようにして戦い、実はなかなかの喧嘩上手。標本体長42.3㎜。

オオカラカネヒナカブト
Agaocephala margaridae

オオカラカネヒナカブト(Agaocephala margaridae)
ブラジルに分布するカラカネヒナカブトの最大種。小ぶりながら刺股(さすまた)状のシャープな頭角を持つ、なかなかの男前。幻のカブトの一つとされていたが、飼育品の流通により入手しやすくなった。標本体長43.8㎜。

アンタエウスミツノサイカブト
Strategus antaeus

アンタエウスミツノサイカブト(Strategus antaeus)
アメリカ合衆国に分布するミツノサイカブトの一種。ミツノサイカブトはオスでも頭角がなく、胸角のみが発達する。全身が漆のような豊かな光沢に包まれており非常に美しい。標本体長39.8㎜。

バックレイエボシヒナカブト
Lycomedes buckleyi

バックレイエボシヒナカブト(Lycomedes buckleyi)
エクアドルに分布するエボシヒナカブトの一種。烏帽子(えぼし)のような板状の胸角は何に使うのか全く不明。小さな頭角の先は三叉状になっている。体は短い毛に覆われている。標本体長37.6㎜。