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モードな虫図鑑。あなたの知らない、美麗モスの世界!蛾&蝶5種類を紹介

ギラギラ、トゲトゲ、モジャモジャ……。なにゆえに自然の摂理とやらは、こんなにも珍妙なデザインの昆虫たちを生み出したのか。人知を超えた造形美を、まずはとくとご覧あれ!標本制作/福井敬貴

Photo: Tetsuya Ito / Text: Shogo Kawabata / Special thanks: Keiki Fukui

Moth & Butterfly(蛾 & 蝶)とは?

まるでファーのような質感と美しい翅模様を持つ蛾。蝶と比べて疎まれがちだが、実は蝶と蛾は分類上は同じチョウ目。膨大な蛾のグループの一部が蝶と考えれば理解しやすいだろう。「翅を閉じて止まるものが蝶で、翅を開いて止まるものが蛾である」とよく言われるが、明確な違いはないに等しい。

タナバタユカタヤガ
Baorisa hieroglyphica

タナバタユカタヤガ(Baorisa hieroglyphica)
まるで浴衣のような美しい模様の入る前翅を持つ蛾。対照的に後翅は純白なのも、前翅の模様を引き立たせている。インド、インドシナ半島、スマトラ島、ボルネオ島、ジャワ島などに生息。標本開張52mm。

ハグルマヨトウ
Apsarasa radians

ハグルマヨトウ(Apsarasa radians)
インド、インドシナ半島からスマトラ島、ボルネオ島、フィリピンなどの東南アジア島嶼部(とうしょぶ)に分布。前翅に入る放射状の歯車のような斑紋が和名の由来となっている。標本開張45mm。

ザルモクシスオオアゲハ 雌雄型
Papilio zalmoxis (gynandromorph)

ザルモクシスオオアゲハ 雌雄型(Papilio zalmoxis:gynandromorph)
アフリカ中央部に分布。メスはほとんど発生地から離れないためか、めったに見られない幻の蝶。写真は胴体中央から左半分がオス、右半分がメスになっている完全雌雄型という変異の標本。標本開張128mm。

イザベラミズアオ
Graellsia isabellae

イザベラミズアオ(Graellsia isabellae)
主にピレネー山脈を生息地とする、ヨーロッパで最も美しい蛾と呼ばれる種。孵化から羽化までに1年をかけて成長し、羽化後すぐに活動を始める1年1化型。年々数を減らしており、保護対象に。標本開張73㎜。

キョウチクトウスズメ
Daphnis nerii

キョウチクトウスズメ(Daphnis nerii)
個体ごとに異なる妖しげなマーブル模様が魅力的な蛾。島嶼間を飛んで移動し、小笠原諸島やハワイ諸島などでも見つかっている。日本のほかヨーロッパ、アフリカ、東南アジアなどに生息。標本開張112mm。

撮影協力/岸田泰則、菱川法之 *標本はすべて東京大学総合研究博物館所蔵