蓄電給電
給電機能は家庭用蓄電池を圧倒! +V2Hで家庭の電気にも有効活用
プリウスやアウトランダーのPHEVモデル、そしてBEV(バッテリーEV)のサクラの3台には純粋なガソリン車と比較して優れたメリットがあるのをご存じの方も多いはず。まず、それぞれ給電ができるということ。さらにV2Hと呼ばれる、クルマ(BEVやPHEV)から自宅へ電力を供給する機器を導入することで家庭で電気を有効活用できる。
一般的な家庭用蓄電池の容量は約2~17kWh。対してBEVやPHEVに搭載される電池の容量は約10~71.4kWhと大容量。もちろん災害時には頼もしいバックアップ電源として使えるのもポイント。さらに新車の場合、国や各地方自治体から補助金を受けられる点も魅力。
電池交換
日本初!電池交換式バッテリーシェアリング
世界的な電動化社会に向けて、ENEOSグループが新たに始めた電動バイク用のバッテリーシェアリングサービスがGachaco(ガチャコ)。日本初の従量課金制の電池交換サービスは注目され、現在、東京と大阪など計52基を展開中だ。将来的には全国に広がる可能性も十分あり、ENEOSの約13,300ヵ所のサービスステーションをはじめ、特約店等での設置も期待できる。ユーザーは高価なバッテリーを買うことなく、電池の劣化も気にせずに低コストで利用できる点は大きなメリットだろう。
自動運転
劇的進化!自動運転に迫るスバルの予防安全技術
電動化のほか、各社が力を入れている分野が自動運転技術。現在、国内ではレベル3までが市販化。スバルでは“自動運転”とは公言していないものの、同社のアイサイトXは限りなくそれに近いレベルに達している。
もともと“ぶつからない”と定評のある同社のシステムは新世代アイサイトとして全面的に進化。GPSや準天頂衛星などの情報と3D高精度地図データを組み合わせることで自車位置を正確に把握。高速道路上でシステムが渋滞と認識した際は、ハンズオフも可能だ。もちろん、その間は両足も自由になる。
渋滞時に停車状態から自動で発進し安全に追従。カーブでの速度制御、レーンチェンジアシストに料金所前速度制御、加えてドライバーの異常時も検知し対応する。限定的ではあるものの、ほぼ自動運転なのでは?と感じるはず。
移動の自由
トヨタ生産方式が生んだ「KAYOIBAKO」
「通い箱」。企業や工場などの拠点間を行き来しながら部品や製品を効率的に運ぶ箱のこと。トヨタは、生産で用いるこの「通い箱」の考え方をBEVコンセプトカーの「KAYOIBAKO」(カヨイバコ)として、ジャパンモビリティショー2023で発表。ビジネスからプライベートまで自由にアレンジして使える移動空間を提案した。車椅子を利用するユーザーにもしっかりと対応しており、乗り込みやすく運転席へのアクセスを容易にした設計は誰もが区別なく移動の自由を獲得できるといえる。
EVで復活
旧車の復活、エンジンのリバイバル、名車復刻……EVが果たす大きな役割
技術の進化は新しいプロダクトを生み出すだけではない。過去の逸品を復刻・復活させることもできるから偉大だ。ここでは、EVの技術があったからこそ蘇ったクルマやテクノロジーを紹介。新しい技術の登場によって、触れることができるようになった古き良きカルチャーとは。
エンタメ
PS5コントローラーでクルマが動く!
ついに実現したソニーとホンダによる協業プロジェクト。その第1弾として登場したのがBEVコンセプトのアフィーラだ。先頃米・ラスヴェガスで開催された見本市『CES』では、家庭用ゲーム機PS5のコントローラーで実車をステージ上で操作してみせた。快適な移動空間というだけでなく、クルマが持つ未来とその可能性。例えば映画や音楽、ゲームとの親和性など、AI活用と創造的なエンタメ空間としての新モビリティを提案。
リアルもバーチャルも両方楽しめる⁉
日産がジャパンモビリティショー2023で発表したBEVコンセプトカーがニッサン ハイパーフォース。将来のGT−R?を連想させるスタイリング、搭載される全固体電池と高出力モーターは最大出力1,000kW(約1,359馬力)を発生。まさにモンスターマシンだが、AR(拡張現実)とVR(仮想現実)を体験できる専用ヘルメットの装着で停車中はレースシミュレーターに。このメリットは大きく、実車を傷めることなく何度でも限界に挑戦できる。
『グランツーリスモ』が世界を変える
年齢や国籍を問わず運転が楽しめる『グランツーリスモ』シリーズ。現在では『グランツーリスモ7(PS5/PS4用)』が世界各地のゲーム好きのみならず、その挙動のリアルさゆえに“ドライビング・シミュレーター”としてクルマ好きたちをも熱狂させている。さらには、ゲーマー出身のプロレーサーも生み出しており、今まさに本作品はカーライフを豊かにする重要な要素だ。その制作現場を訪ね、『グランツーリスモ(以下GT)』シリーズクリエイターで〈ポリフォニー・デジタル〉代表取締役プレジデントの山内一典さんに話を聞いた。
「私が24歳の時に最初の作品の制作を始めたのですが、当時はゲーム業界、そして自動車業界で誰も手がけていなかったリアルな物理シミュレーションに基づくドライビング・シミュレーターとしてのアプローチだったわけです。日本各地から15人のクリエイターを集めました。小さなチームで、リリースまでには5年かかりましたね」
そのリアルさは、正確な情報収集、緻密な測量、データの数値化など多岐にわたる地道な作業に基づいている。例えば、リアルなサーキットで事故が起きた場合、補修作業で生じたわずかなギャップからステアリングの挙動が違ってくる場合もある。そこまでをリアルに再現する。
「GTを作るうえで私が最も大事にしているのは“光”です。クルマぐらい艶があって光を反射する物体って、自然界には水面くらいしかないので、クルマの表現はいつでも光の表現の勝負だと思っています」
そのこだわり抜いた表現方法からゲームとリアルの境界線を曖昧にして“カーライフ”の一部として認識できるまでになっているGTシリーズ。さらに特筆すべきは、前作である『グランツーリスモSPORT(PS4用)』を使用しAIに新たな技術革新をもたらしたAIエージェント「グランツーリスモ・ソフィー」の存在だ。その目的とは?
「“スポーツマンシップ”というポイントを改善し続けています。具体的にはGTのトップドライバーのスポーツマンシップを走りながら学び進化し続けています」
ゲームの中では敵車となるクルマがより人間らしく走行する。結果、ドライバーたちのスキルが向上し、モータースポーツのファンが増え、カーライフを豊かにする。GTシリーズが果たす役割は大きい。最後に、山内さんに本シリーズの“使命”について尋ねた。
「過去150年の自動車の歴史をビデオゲームに動体保存するだけではなく、自動車産業や、人とクルマの関係の未来に寄り添っていきたい。クルマがどこへ向かうのか、という課題は、人類全体が決める話だと思うので」