博多に深く根づく民俗土人形
今宿人形は、福岡市西区今宿に伝わる伝統的な土人形で、創始者の大橋清助が博多の人形屋兼提灯屋(ちょうちんや)〈みつや〉で修業を重ね、明治38(1905)年、今宿に節句人形工房〈人清〉を開いたことに始まります。以来、地域の行事や節句の飾り物として親しまれてきました。
素焼きの土を使い、乾燥・焼成・彩色などをすべて手仕事で仕上げる技法は、創業から変わらずに今も受け継がれています。

題材はとても豊富で、おたふく面、ひな人形、博多人形の定番である笹野才蔵などがあります。中でも有名なのが、福岡市早良区にある猿田彦神社の庚申祭で授与される猿面です。
「魔が去る(まがさる)」に通じる縁起物で、無病息災や厄除けを願い、家の入口などに飾られます。今回ご紹介するのは、お祝いの時などに飾られる特別な紅白の猿面です。
