八咫烏大神に願いを託す御幣
大阪市阿倍野区の阿倍王子神社は、熊野九十九王子の中で大阪府下に唯一現存する旧跡の王子社で、平安時代以降、熊野詣での重要な拠点として信仰を集めてきました。御祭神は熊野大神と応神天皇であり、その御神使である八咫烏(やたがらす)も八咫烏大神として深く崇敬されています。

この神社で授与される「御烏御幣」は、八咫烏を象(かたど)った特別な御幣で、参拝者が願い事を書き入れ、社殿前に奉納するものです。八咫烏大神は熊野三山へ願いを届けるとされ、この御幣を通じて祈りが熊野へ伝わると信じられています。

また、古くから旅の安全を祈る神としても崇められ、方除け・厄除けの御利益があるといわれてきました。そのため、人生の転機や新しいことへの挑戦を前に、多くの参拝者たちが思いを託し、熊野への祈りを込めて奉納しています。