コレラを倒した虎の縁起物
大阪・道修町(どしょうまち)は、豊臣時代頃から薬の取引で栄えた薬問屋の町で、今も医薬品関係の店や会社が立ち並びます。
その中心に鎮座する少彦名(すくなひこな)神社は、薬業の神・少彦名命(すくなひこなのみこと)を祀(まつ)り、崇敬を集めてきました。この神社で毎年11月に行われる例大祭『神農祭』は、薬業の繁栄と人々の健康を祈る伝統行事です。
この祭りで授与されるのが、薬業と健康に深い関わりを持つ「虎」の授与品。江戸後期に大坂でコレラ(虎狼痢)が流行した際、虎の頭骨などの和漢薬を配合した「虎頭殺鬼雄黄圓(ことうさっきうおうえん)」が作られたことから、薬と一緒に張り子の虎のお守りが配られるようになりました。
以来、虎の授与品は少彦名神社を象徴するものとなっています。伝統的な笹に付いた小さな張り子の虎が有名ですが、近年では種類も増え、こんな宝船の土鈴もあります。