白鷺の城が育んだ色鮮やかな張り子
少し気が早いですが、今回は来年の干支、「巳」の郷土玩具のご紹介です。姫路城の城下町で生まれた姫路張り子の「小槌乗り巳」です。城下町には商家が多く、大福帳などの反古和紙が大量に出たため、張り子細工が発展しやすく、この姫路張り子もそのうちの一つ。
作り始めたのは、明治初期、姫路城主酒井家の絵師の家系に生まれた初代豊岡直七です。その後、親戚の刀鍛冶であった松尾家にその技術は引き継がれ、現在は5代目の松尾哲さんが製作をしています。
姫路張り子の特徴は、木型ではなく、瓦でできた瓦型を使うこと。また、鮮やかな色彩のものが多いです。80種以上にも及ぶお面や獅子頭、だるま、首振り虎、干支物など、種類も豊富。この小槌乗り巳も、ユニークな表情と非常に鮮やかな緑が映える可愛らしい玩具です。