修善寺で受け継がれる大森の編み技術
修善寺温泉の入口に佇む〈民藝麦わらの店 晨(あした)〉。菱形の独自の編み目を持つ「大森細工」を継ぐ唯一の工房です。江戸時代、東海道中の品川から川崎には、大森細工をはじめとした麦わら細工の店が立ち並び、旅人たちがみやげものとして買い求めました。
シーボルトもその一人だったことでも有名です。しかし、1995年頃、後継者問題から、大森細工の職人の知人が晨工房に技術継承を依頼します。当時、修善寺のわら細工製作が多忙で、一段落してから着手し始めたところ、その職人は他界しており、技術は一時途絶えてしまいました。
その後、大森細工の作品をほどきながら、技術を解読して復活させ、現在も作り繋いでいます。この技法は、菱形を作るのに、4回折り合わせることから「しあわせ(四合わせ)」が連なると言われ、幸運の縁起物として愛されています。