嚴島神社を見守る宮島の鹿玩具
江戸時代、嚴島(いつくしま)神社のある広島県宮島では、野生の鹿を殺すと罰せられるという御触れが出され保護されていました。そんな宮島の鹿をモチーフにした木彫り細工がおみやげ物として愛されていましたが、明治の半ば頃、この木彫り細工をモデルにした土人形も作られ始めます。
その際、当時島内に数多くいた猿を組み合わせた「鹿猿」というユニークな玩具が生まれ、これが大人気に。何度かの廃絶はありましたが、100年以上経った現在も作り続けられる宮島みやげの定番です。
今回ご紹介するのは、大正末から昭和初期にかけて作られていた鹿猿を復元したもの。わずか数年で姿を消してしまったため、現存する資料はとても少なく、これまではなかなか手に入りませんでした。大きな白丸が2つ描かれたシンプルな絵付けがかわいらしい作品です。