親指サイズの素朴な土人形
北九州の門司(もじ)区に伝わる「門司ヶ関人形」は、第二次世界大戦後、戦地から復員してきた柳瀬重朝が始めた郷土玩具です。
彼は帰国後、様々な職を転々としたのち、進駐軍のバーから払い下げを受けたウイスキーのポケット瓶に石鹸水を入れて「シャボン玉売り」をしました。その際、もっと子供たちを喜ばせたいと、オマケを付けることを考え、かつて母親が作っていたしんこ細工の人形をヒントにして作りだしたのが始まりです。
民芸ブームの時代に郷土史家の境忠二郎により命名され、全国の愛好家たちに知られるようになりました。しかし、昭和50年代の初頭に、柳瀬が亡くなったことで廃絶となります。その後、昭和59(1984)年、現在の門司ヶ関人形工房の上村誠により復元され今に至ります。指先サイズのコロンとしたかわいらしい玩具です。