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みやげもんコレクション:しるしの杉(京都府/京都市)

旅先で出会ったら、ぜひともお供に連れて帰りたくなる郷土色豊かな玩具や縁起物などの「みやげもん」たち。Google Mapで全国のコレクションが見られる「みやげもんマップ」も。

edit: Shogo Kawabata

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熊野詣道中の安全を守ってくれた伏見の杉

みやげもんコレクション:しるしの杉
しるしの杉 1,500円(伏見稲荷大社 TEL:075-641-7331)

平安時代中期になると、貴族たちの間で、紀州の熊野詣が非常に人気となりました。その行き帰りには、京都にある伏見稲荷大社に立ち寄ることが習わしとなっていて、境内の杉の木の小枝を身に着け「しるしの杉」として道中のお守りにしたそうです。

実際、さまざまな歴史的な文献にも、その記録が残っています。例えば、平家が栄華を誇っていた平治元(1159)年、平清盛が熊野詣への道中で、京から早馬がやってきて、「三条殿に夜討ちがあり御所が焼失してしまった。これは平家を討とうとするものの企みに違いない」という知らせを受け、清盛は急いで京へと戻ります。

そんな緊急事態の中であっても、清盛は伏見稲荷大社に立ち寄り、杉の枝を折って鎧(よろい)の袖に差して帰った、という逸話が『平治物語』に記録されています。

伏見稲荷大社
現在、しるしの杉は新春から2月に授与される縁起物となっている。

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