宇津ノ谷峠の鬼退治にまつわる厄除け
静岡県静岡市にある慶龍寺。こちらの境内にある延命地蔵菩薩には、人食い鬼にまつわるこんな伝説が残されています。かつて東国へ下る在原業平は、この宇津ノ谷峠(うつのやとうげ)に出没する鬼を退治するため、地蔵菩薩に祈願しました。
旅の僧侶へと姿を変えた地蔵菩薩が鬼のもとへと向かうと、人間の姿をしていた鬼は、身長が6mの大きな鬼に変身します。僧侶が「たいしたものだ、それなら次は私の手のひらに乗ってみせろ」と言うと、今度は小さな玉となって手に飛び乗りました。
そこで僧侶は杖で玉を砕き、10粒となった鬼を呑み込んで退治したのです。村人たちは、この鬼を供養するために玉を象(かたど)った小さな10個の団子を作り、峠越えのお守りとしました。現在では、苦渋苦難除けのお守りとして作られ慶龍寺で毎年8月23日・24日に行われる縁日にて授与されています。