化け猫伝説にゆかりの猫神さん
徳島の〈徳島県文化の森総合公園〉の敷地内に鎮座する王子神社。願い事を叶えてくれる「猫神さん」の愛称で親しまれており、阿波の化け猫騒動に縁のある場所です。
それは享保年間のこと、不作の続いた村の庄屋だった惣兵衛は、自分の土地を担保にして、裕福な商人からお金を借りました。そのお金は返したのですが、返済の証文を受け取るのを忘れてしまったのです。やがて惣兵衛は病死してしまい、妻のお松が代わりに証文を求めますが、商人は証文を渡すどころか、担保だった土地まで取り上げてしまいます。
そこでお松は必死に奉行所へと訴え出ますが、奉行はこれを退けてしまいます。追い詰められたお松は飼い猫・お玉にその恨みを伝えたのち、藩主の行列を横切って直訴し、処刑されてしまいました。すると、商人と奉行の家に化け猫が現れるようになり、祟りを恐れた奉行は、お松とお玉の霊を鎮めるために王子神社に祠を立てたといわれています。そんな王子神社の招き猫は合格祈願や安産祈願などを願う人たちに人気の縁起物で、境内には無数の招き猫が奉納されています。