本殿が地車になっているなんとも珍しい稲荷社
大阪の榎木(えのき)神社は別名「地車(だんじり)稲荷神社」とも呼ばれ、なんと本殿が地車の構造になっている非常に珍しい神社です。かつて天満堀川の堀止めのあたりに、エノキの大木があり、その根元には祠(ほこら)が造られ、信仰の対象となっていました。その木の根元には「吉兵衛」というタヌキが棲(す)みついており、毎晩、地車囃子(ばやし)の真似をしていたのだとか。
その後、天満堀川が延長して掘られたため、この祠は堀川戎(ほりかわえびす)神社の境内に移築され、吉兵衛にちなんで、本殿が地車の様式で造られた榎木神社となりました。そのため榎木神社は稲荷社であるにもかかわらず神の使いがキツネではなく、タヌキとされる独特の信仰が生まれ、願い事が叶うと、地車囃子が聞こえてくると言います。そして、願いが叶ったお礼に、タヌキが地車を曳(ひ)く絵が描かれた、この地車絵馬を奉納する習慣があります。