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デザイン家具好きが通う〈ビルディング〉で、ミッドセンチュリーデザインに出会う

やむを得ない事情で生産を終了した幻のシリーズや、保存状態の良いものが少ない貴重な品々。コレクターたちもめったにお目にかかれない、特別な10品を集めました。

Text: Teruaki Ishinoda / Special Thanks: BUILDING

BUILDING(白金高輪)
ネルソンヴィンテージが多く揃う。

ネルソンやイームズを筆頭に、ヤコブセン、ケアホルムなどミッドセンチュリー期の上質で状態のいいヴィンテージ家具を数多く取り扱う。

オリジナルのソファやテーブルも人気があり、収納や内装などインテリアの相談にも乗ってくれる。

1st RAR (Rocking Arm-chair Red-base)

ゼニスプラスチック社製の稀少な初期モデルのシェルに、こちらも稀少な、ソリのエッジが丸くなっている初期モデルのロッカーベースの組み合わせ。

特に、破損が多いヴィンテージのロッカーベースが、グッドコンディションで見つかることは稀。裏面のステッカーが綺麗に残っていると、さらに価値が増す。

3473 Sofa

1964年にデザインされた3473ソファは、現行品でも人気のあるソファコンパクトの改良版。

座り心地やサイズ感はソファコンパクトに似ているが、生産コストの問題で9年間しか製造されていなかったため、今では貴重なモデルに。背面と座面を支えるアルミ製の脚部にも、イームズらしい無駄のない構造美を感じさせる。

Half Nelson Lamp

1950年、雑誌『HOLIDAY』の企画で建設された家のためにネルソンがデザインした照明。77年に商品化されたが、数年で生産中止となった幻のアイテム。

可動式のシンプルなシェードが、空間に柔らかな光の表情を作り出す逸品だ。写真のブラック塗装タイプのほか、クローム、真鍮ポリッシュと3タイプ展開されていた。

Eyeshade Floor Lamp

コッチ&ローウィ社のために、1975年にデザインされた照明シリーズ。

ネルソンの手がけた照明の中では比較的後期にデザインされたアイテムで、多様なシチュエーションに対応できるよう、高さやアームの異なる複数のモデルがデザインされた。タイムレスなデザインで、ネルソンファンには人気の高い照明。

Extension Coffee Table

〈ハーマンミラー〉から1945年に発売されたコーヒーテーブル。ネルソンらしい直線的でシンプルなラインが美しい逸品だ。写真のようにサブ天板を引き出し、サイズを自由に変更できる。

サブ天板を裏返すとトレーになっており、小物などを収納できる。未復刻のため、ヴィンテージでしか手に入らない。

Comprehensive Storage System

1957年にデザインされたネルソンの代表作。通称“CSS”と呼ばれ、棚板や収納ボックス、デスクといった多彩なパーツを組み合わせ、思い通りの壁面収納を作ることができるユニットシステム。

ヴィンテージ市場でバラバラのパーツで出てくるため、写真のように理想的なサイズや仕様で見つかるケースはかなりレア。

Cane Bench

ネルソン・プラットフォームベンチのメタルレッグに似ているが、これは座面部分が籐(ラタン)で作られている。

1952年に販売をスタートし、わずか数年で廃番になってしまった、かなり珍しいモデル。海外のオークションハウスなどで稀に見ることができるが、国内で見る機会は極端に少ない。

Swag Leg Chair “MAA”

1958年に発売されたスワッグレッググループチェア。座面と背もたれをつなぐパーツに、スチールとゴムを採用。ゴムの柔軟性や反発力に着目し、リクライニング機能を取り入れた革新的な構造であったが、耐久性の問題でわずか1年で廃番に。

生産数も少なく、コンディションの良いものを見つけるのが難しい一脚。

Spider Clock

通称スパイダーといわれる、〈ハワードミラー〉製のクロックシリーズの一つ。時間を表すスチールロッドの先から、クモの巣のように糸を張り巡らした独創的なデザインが秀逸。

繊細な加工ゆえ保存状態が良いものも少なく、数多く存在するネルソンクロックの中でも稀少性の高い時計の一つになっている。

Pedestal End Table

豊富なサイズ展開がある人気の高いペデスタルエンドテーブル。このシリーズの中でも、現在は生産されていないモデルがこちら。

引き出し付きのテーブルトップは汎用性も抜群で、ウォルナットの突き板がプロダクトの高級感をさらに感じさせる。エレガントな曲線美を持つベースとのコンビネーションも魅力。