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60代、できっこないを、やらなくちゃ。箭内道彦がさいたまスーパーアリーナでイベントを開催!

クリエイティブディレクター、パーソナリティ、ギタリスト、ふるさと福島県への貢献など、ジャンルを飛び越えて第一線を走り続けている箭内道彦さん。自身の生誕60年を迎える今年、さいたまスーパーアリーナを2DAYS借りて音楽イベントの開催を決定した。

photo: Kazuho Maruo / text: Chisa Nishinoiri / edit: Asuka Ochi

集大成ではなく、この先の60代をどう生きるか

2024年の4月10日に還暦を迎える、箭内道彦さん。広告という枠を超え、クリエイティブディレクター、パーソナリティ、ギタリスト、ふるさと福島県への貢献など、ジャンルを飛び越えて第一線を走り続けている。

「還暦という話題は避けられないですね。でも、60歳になる瞬間というより、僕はこの先の60代をどう生きるかをすごく考えて、加速したいと思ったんです。サンボマスターの『できっこないを やらなくちゃ』じゃないですけど、無理だなって思うことを自分に背負わせてみようと思ったんです」

箭内道彦

周年をこじつけに、立ち止まったり、振り返ったり、加速したり

箭内さんの加速が止まらない。2023年5月には、〈風とロック〉の設立20周年記念展をパルコミュージアムで開催し、12月には箭内道彦と松田晋二によるアートユニット〈ゆべしス〉で初個展。そして自身の生誕60年を迎える今年、さいたまスーパーアリーナを2DAYS借りて音楽イベントの開催を決定した。

「この先10年、どう生きるかはわからないですけど、僕の還暦を皆さんでお祝いしてくださいね、みたいな試みではないんですよ」と、はにかみながら、イベントへの思いを話してくれた。

「さいたまスーパーアリーナという会場に非常に思い入れがあります。ここは2011年、福島県双葉町の方々が避難生活を送った施設でもあります。今年の元日には能登半島地震がありました。やはりふるさとというのは大きなテーマだと思います。一人一人が一人一人のふるさとを互いに思い合う。そんな時間を2024年3月の終わりに用意したいと思ったんです」

発表された出演陣には豪華アーティストが名を連ね、二度と見ることが叶わないような4組の対バン公演が組まれている。

「普段だったら実現しなかったような対バンを、僕が知っている仲間たちに声をかけて実現させてもらいました。真面目な言い方をすると、2つの違う個性がどう混ざり合って前に進んでいくかというのは今の時代の大きな課題でもあるとも思うので、そういうことが体現できる場になるんじゃないかなと思っています。特に乃木坂46とサンボマスターという組み合わせは、よくぞ両者とも受けてくださったなと(笑)。とはいえ毎年やっている風とロック芋煮会の約40倍のキャパシティですし、多分、コンサートのプロフェッショナルの方から見るとかなり無謀なことをやろうとしているので、眠れない夜を過ごしています」

迫り来る60代に身を委ね、「自分にできることをやっていくしかないな」と言う箭内さん。

「でも、次にやりたいことが生まれちゃうのが怖いですね。次回は東京ドームだ!とか、思わないように、“さいしょでさいごの”って言っているので」

箭内道彦