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メモが欠かせない西寺郷太が、進化する新感覚メモを比べてみた

20年以上前からトークイベントの際に手書きノートの複写を配り、ラジオ収録前にはノートにレジュメを作る。1980年代音楽研究家としての活動にもノート、つまりメモが欠かせないという西寺郷太さん。調べて、書いてまとめる、をライフワークにしている西寺さんに、現代的な進化を遂げた新感覚のメモを試してもらった。

Photo: Kengo Shimizu / Text: Fumihito Kouzu

Noteshelf(ノートシェルフ)

紙のノートのように書け、
操作は直感的で使いやすい。

Apple Pencilに対応し、手書きで文字が書き込めるiPad用アプリ「Noteshelf」。

鉛筆、万年筆といったペンの種類が選べ、太さや色も変更できる。書いた文字をグルリと囲んで選択すれば、拡大・縮小、移動が可能。かなり自由度が高い。

「想像していたよりも、紙のノートに書く感覚に近くて驚きました」と、普段と変わらない感覚で文字が書けることに驚く西寺さん。実際にTBSラジオ『アフター6ジャンクション』の月イチ特集「西寺郷太の洋楽スーパースター列伝」用のレジュメを作っていく。

「いつもはイラストを描くんですけど、簡単に画像を入れられるのは良いですね。そのものを知らない人には写真の方が伝わりやすいということもありますし」

一度書いたものを消さずに、サイズや位置を変えられるのはデジタルならでは。画像の配置も検討しながら、ノートを作り込んでいく。

「雑誌のレイアウトのように、編集していく楽しさがありますね。このアプリは自分のノートの使い方に合っている感じですし、もっと試したいので、買うことにします」と即決のお買い上げ!

iPad用アプリ『Noteshelf』画面
手書きの文字やイラストと画像を手軽に組み合わせてノートを作り上げられる。手書きで入力した文字のサイズ変更や移動ができ、さらに手書き文字のテキストデータへの変換、検索も可能。画像はドラッグ&ドロップで貼り付けられるなど、操作は直感的。iPad版では編集時に画面を分割表示して、同時にほかのアプリを開くこともできる。

Notion(ノーション)

プロジェクト管理に適した
ビジネス用ノートアプリ。

リモートワークの広がりとともに、ビジネスパーソンの間で人気が高まりつつあるアプリ「Notion」。

情報の整理、構造化がしやすく、スケジュール管理やプロジェクト管理に適している。外部リンクについては、テキスト表示はもちろん、リンク先の情報を取り込んでカード化して表示することもできる。

「このアプリが一番力を発揮するのは、グループでデータをシェアしたり、何かのプロジェクトを進めるときに共同でここにまとめていく、みたいな使い方なんでしょうね。皆がアプリを使える環境が最もふさわしそうですが、画像を貼り込んで企画書みたいなものを作るときには便利かもしれないです」

テンプレートも豊富に用意されており、ドキュメント作成、表計算、画像ファイルやタスクの管理などができる汎用性の高さ、それらをツールを使い分けずに一つに集約できるのも「Notion」の特徴。仕事の効率化を実現してくれるのはもちろん、趣味の記録などにも適している。

Rocketbook(ロケットブック)

データ保存が可能な
持ち歩くホワイトボード。

ボールペンで書いた文字や絵を、濡れたタオルなどで消すことができ、1,000回まで繰り返し使え《Rocketbook》。専用アプリを使えば、素早くデータ化することもできるハイブリッドなノートだ。

「持ち歩き用のホワイトボードという感じなんですかね。書いたものはデータ化して、消すことが前提のノートなので、ミーティング中のメモや学生が板書されたものを書き写すのに向いているかもしれません。書き味は、少し滑る感じがあって紙に書くのとまた違った感覚ですね」

アナログとデジタルを滑らかに繋ぎ、紙を消費しないという点ではエコでもある。ブレストに使うのも良さそうだ。

isshoni. notebook desk(イッショニ. ノートブック デスク)

狭いスペースを無駄なく
使える横型ノート。

リモートワークでの会議中、オンラインでのイベントに参加しているとき、パソコンを前にして、手書きでメモをとりたい場面がある。そんなシーンで重宝するのが〈isshoni.〉の《notebook desk》。

「僕が使うなら、外出中にネットで調べものをしているときに、サッとメモをするという使い方でしょうか。カフェで仕事や勉強をする人には便利でしょうし、なるべく荷物をコンパクトにしたい人にも良さそうですね」

パソコンの画面を前にしながら、メモをすることを前提に作られた、デジタル時代向けに最適化されたアナログノート。

NOBLE NOTE(ノーブルノート)

シンプルに情報を管理する、
西寺流メモの原点。

ノートを2、3冊同時に使い、ジャンルを明確に分けたりすることなく、その時期に考えたこと、まとめたいことを何でも書いていくのが西寺さんのスタイル。

愛用しているのがA4サイズの〈ライフ〉の《ノーブルノート》。丈夫な製本、書き心地の滑らかさなどが特徴。A4サイズを選ぶのは小さいものだと絵や地図を描くことに適していないのと、余白を作りづらいから。

ラジオの収録、トークイベント、講義などのレジュメを作るときは、見開き1枚(2ページ)か2枚(4ページ)でまとめる。見開きを基本単位とするのは、仕上がりの見やすさを重視するため。このあたりは、雑誌作りとも共通しているかもしれない。

また、あるテーマについて書くときは、前後2〜3見開きを空けて、後で書き加えられるようにしておく。黒一色で書くのを基本にするのは、大事だと思う場所がタイミングや状況によって変わること、資料として配布する場合、カラーコピーできるとは限らないのが理由。