BRUTUS
フローティング・ポインツが主宰するMelodies International(*1)。小袋さんが「ロンドンの友達」と呼ぶ彼らとの出会いは?
小袋成彬
ロンドンでのリイシューレコードのフェアを訪れたのがきっかけです。過去に発表されたレコードのライセンスを取ってマスタリングし直して販売する“リイシュー”のマーケットが、ロンドンには小さいながら確実にあって、その日も10組くらいがブースを出店していました。
色々見て回る中でMelodies Internationalのエリオットと出会って仲良くなり、ロックダウンが解除されてからはパーティに遊びに行くようになって今は照明係までやっています(笑)。
エリオットとは音楽好きであることはもちろん、お互い大学でビジネスを勉強していてレーベルの経営者である点も共通していましたし、共通言語も多く感覚が近かったのかもしれません。
BRUTUS
ビジネス的な観点でも“リイシューレーベル”の意義を感じているのですね。
小袋
新しい価値を提供して顧客を得ることがビジネスだと僕は考えているので、価値ある名曲を掘り出し、自分たちの手を介して顧客を作っていく彼らのビジネスには意義を感じますね。
実際、僕も彼らを通して様々な音楽と出会いましたし、彼らがこの10年間で培ったコミュニティはオープンでカラフル。老夫婦から若い女性たちのグループまであらゆる人がのびのびと体を揺らして楽しんでいる様子はとてもハッピーですよ。
BRUTUS
特に気に入っているレコードは?
小袋
たくさんあるけれど、あえて挙げるならBen UFOの「Melodies Record Club #002: BenUFO selects」(*2)。アーティストがセレクトするこのシリーズは面白いです。
あとはBOBBY WRIGHTの「Blood Of An American」。1960年代の、アフリカ系アメリカ人のシンガーによるフォークソウルです。フローティング・ポインツとレッド・グレッグがエディットした「Disco Baby」も良いですよ。
クラブで踊るのは自己肯定的な行為。
BRUTUS
日本で好きなクルーはいますか?
小袋
Rainbow Disco Club(*3)やFFKT(*4)は、真摯に音楽に向き合う最高のパーティだと思います。CYK(*5)も純粋にDJやパーティを楽しんでいていて、それに共鳴する若い世代の人たちが多いのも納得できます。
BRUTUS
今回ワンマンツアーのアフターパーティに彼らを招聘した理由を聞かせてください。
小袋
まず大きな音で良い音楽を体感してほしい。僕自身がロンドンでの体験でそれまでモヤモヤしていたものが晴れた思いがした。
音に心身を預けて体を揺らす行為は、すごく自己肯定的。自分の体を自由に動かしていいんだ、という当たり前の感覚を取り戻せるのはクラブの魅力の一つです。
パンデミックを経て日本のクラブカルチャーが衰退していくのを見過ごしたくなく、シーンの外側からの刺激で何か影響を与えられれば本望です。
あと実は日本はクオリティの高いレコードがたくさんあるパラダイスで、みんな何かと理由をつけて訪れたがるんですよね(笑)。メンバーも日本でのレコードディグを楽しみにしてます。