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呼吸の瞑想=アーナパーナとは?映画監督・想田和弘が瞑想をすすめる理由

心が喜ぶ 豊かな暮らしをはじめる。おだやかな気持ちで毎日を過ごすための生活習慣や趣味。やってみたい、やらなければ、と思いながら、先延ばしにしていることが誰しもあるはず。気構えず、楽しい入口を知って、心が喜ぶ豊かな暮らしをはじめよう。

illustration: Thimoko Horiguchi / text: Ryota Mukai

教えてくれた人:想田和弘(映画監督)

アーナパーナを極める。

アップルやグーグルなど世界の名だたる企業の研修に導入されている瞑想。そんなにいいものなのだろうか?

「僕が毎朝1時間取り組んでいるのはヴィパッサナー(=観察)瞑想と呼ばれる方法。自分の心身を平静に観察することで、怒りや不安、嫉妬などネガティブな感情に、自ら気がつき支配されにくくなるんです」と、さらっとすごいことを話す想田和弘さん。

ビギナーはまず「アーナパーナ」からはじめるのがいいそう。「“呼吸の瞑想”という意味です。目をつぶり、自然に呼吸するだけ。

ポイントは、空気が鼻腔を通る感覚だけに集中すること。せっかくなので、5分間やってみましょう」と、試してみると、呼吸って普段もっと浅くなかったっけ?周りの会話の内容まで頭に入ってきてしまう……というように、集中するのがなかなか難しい。

「うまくいかないのは仕方ありません。そもそも人間の思考は、モンキーマインドと呼ばれていて木から木へ渡っていく猿のように、あちこちに移ろうようにできているんです。僕自身、雑念が湧きにくくなるのに3年(!)かかりました。

2019年に参加した、ヴィパッサナー瞑想の合宿が転機になりました。千葉にある瞑想センターで10日間、1日10時間瞑想をするんです。スマホは預けて、参加者同士の会話も禁止。

外界から遮断された場所でひたすら瞑想に打ち込みます。初心者こそ、この合宿に行けばまず間違いありません。でもハードルが高すぎますよね。そんな人も家はもちろん、通勤電車の中でも構いません。身近な空間でぜひはじめてみてください」

瞑想をするのに
最適な姿勢は?

重要なのは楽な姿勢であること。例えば座布団の端を重ね厚みがある部分に重心がくるように座り、背筋は伸ばしすぎず緩める。脚はパラレルになる位置にすると無理せず長く座れる。

瞑想の姿勢