まずはじめに〈me ISSEY MIYAKE〉の新たな取り組み《REmeTEX》とは、自らのブランドの服作りの過程で出た“はぎれ”を資源とし、新たな服に生まれ変わらせるというシリーズである。
一般的に、一着の服を作る過程では、特に生地の裁断工程で不使用となるはぎれが生まれる。もちろん、これらのはぎれをできるだけ少なくするために多くの企業努力が行われているのだが、それでもはぎれは生まれてしまうものだ。昨今では、SDGsの観点からもそれらの資源の有効活用についてさまざまなアイデアが活用されている。
そして《REmeTEX》では、反毛の技術を用いてはぎれを綿(わた)に戻し、その綿(わた)で再度紡いだ糸を織った生地を使用することで、ひとつのリサイクルの形を実現させたというわけだ。
まずはその取り組みをテーマに制作されたアニメーションをご覧いただきたい。〈me ISSEY MIYAKE〉の特徴でもある、カラフルな生地が裁断され、混ざり、再び糸に戻って生地となり、新しい服が生まれる様子を軽やかに表現している。
ユニークな展示で取り組みを読み解ける、《REmeTEX》の展示が各地でスタート!
この《REmeTEX》の展示が、東京・銀座、青山と大阪・船場のストアでスタートした。会場は、カラフルなはぎれをモチーフにした装飾で彩られている。また、〈me ISSEY MIYAKE〉を代表するアイテム「ストレッチプリーツ」のはぎれから新たな服が作られる製作過程を、クッキー作りで例えたような遊び心満載のディスプレイも非常に興味深く分かりやすい。ここでは銀座店に今年2月にオープンした展示スペース〈CUBE〉での展示の様子を紹介していく。
そして番号順にディスプレイを見ていくと、最終的に実際に出来上がった「REmeTEX DENIM」の展示にたどりつく。一般的なデニムよりも軽くて柔らかい着心地が特徴で、プレス加工の折り目に沿って畳めばコンパクトに携帯することも可能だ。こちらはユニセックスアイテムで、店頭で購入することもできる。
新プロジェクト《REmeTEX》の第1弾としてデニムが製作されたわけだが、今後もデニムに限らずさまざまなアイテムが、はぎれから生み出される予定だ。
地球環境への問題を解決するのは、簡単なことではない。しかし、ユニークな視点や行動で、意識を変えることができる。《REmeTEX》の展示を通して、現代のモノづくりの姿勢で大切なことや未来の姿が見えてくるのではないだろうか。
me ISSEY MIYAKE
“わたし”の生活を快適に楽しむための衣服として、2000年にスタートしたブランドで、コンパクトで軽く、イージーケアに長けたアイテムを展開する。機能性だけでなく、色やプリントのバリエーションが豊富で、自由に着こなしを楽しむことができる。