“もしも自分だったら”。マユリカのファンタジー世界への憧憬

私の目覚めるSF

photo: Takao Iwasawa / text: BRUTUS

ひとたびそこに飛び込めば、世界の見方が変わり新たな心が呼び覚まされる。サイエンスフィクションという物語には、私たちの人生や価値観を変える力があります。自身の新たな感覚が“目覚める”お気に入りのSF作品について、マユリカの2人に語ってもらいました。

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近未来的な架空の道具が出てくる作品に惹かれます。小学生の頃、実家にあった『風の谷のナウシカ』のビデオテープを何回も観ていたのが目覚めかもしれない。採取した胞子をガラスの試験管に入れて、胸のポケットにしまうシーンが特に好き。

宇宙が舞台のものより、ファンタジー要素が強い方がより身近に思えます。現実逃避ではないけど、今いる場所とは別の綺麗な世界に行きたいという憧れがある。S(サイエンス)派かF(ファンタジー)派かで言うと、僕は“ドF”です。(阪本)

思い返すと、SFに初めて触れたのは小学4年生の頃に親父と観た『猿の惑星』。でも当時はあまり意識しておらず、中学生になって友達から『GANTZ』を借りたときに、1話からぶっ飛んでいるSF的な設定に引き込まれました。

『星を継ぐもの』の漫画版も、月面にある何万年も前の宇宙服を着た死体のシーンから始まるんですけど、日常にありそうでない、作中だけに存在するルールにロマンを感じますね。「もし自分がそうなったら……」と置き換えて、想像しながら楽しんでいます。(中谷)

阪本(左)と中谷(右)。

マユリカが選ぶSF作品4選

『STEINS;GATE』
監督:佐藤卓哉ほか/2011年放送/中二病の大学生・岡部倫太郎が偶然生み出した過去にメールを送信できるタイムマシン。それはやがて世界を巻き込む大きな悲劇を生む。「主人公が物語が進むにつれて暗い性格に。観てて辛いけど、止まらへん」(阪本)

『ソードアート・オンライン』
監督:伊藤智彦/2012年放送/次世代型VRゲームの中に閉じ込められた主人公のキリトが、ログアウトのために命懸けでゲームのクリアを目指す。「異世界ものも結構好きで、自分もこんなゲームを早くしたいって思います。とにかく楽しそう」(阪本)

『ぼくらの』
著:鬼頭莫宏/2004~09年連載/夏休みに集まった15人の少年少女。彼らは地球を滅亡から救うため、パイロットの命を奪う巨大ロボットに乗り込む。「世界観に惹かれます。おのおのにスポットライトが当たるので、人間ドラマとしても面白い」(中谷)

『刻刻』(こっこく)
著:堀尾省太/2008~14年連載/主人公・佑河樹里の甥がある日突然誘拐された。救出のため、やむを得ず、一家に代々伝わる“止界術”を使い世界を止める。「時間が止められた世界で描かれる人間の行動が妙にリアル。設定の作り込みがうまい」(中谷)