日本の発酵食品で、本格的なイタリア料理を
「発酵食品は、イタリア料理においても馴染みのあるもの。ワインやチーズ、アンチョビ、コラトゥーラ・ディ・アリーチと呼ばれる魚醤はその代表格で、さまざまなメニューにおいて味を決める重要なエッセンスになっているんです。今回のレシピの起点になったのは、それらを日本の発酵食品に置き換えるという発想でした」
「ファビオ飯×marukome 発酵Restaurant」と名付けられた今回のイベントで提供されたメニューについて、そう振り返るのがファビオシェフ。料理のコンテンツを発信するYouTubeチャンネルの現在の登録者数が110万を超える。そんな彼が考案したマルコメの商品を取り入れた本格的なイタリア料理が食べられる機会とあって、多くの来場者が足を運んだ。用いられた味噌や塩糀などをベースにした商品はいずれも、スーパーマーケットなどでも手軽に調達できるものばかりだ。
「豊かなうま味と香りをもたらしてくれるのが発酵食品の醍醐味です。その意味では、日本とイタリアの食品に大きな違いはないんですよね。味噌もワインも同じように樽で寝かせるし、チーズも温度管理された環境でじっくり休ませていく。共通項が多いので、日本の発酵食品はイタリア料理とすごく相性がいいと思っています。特に香りや風味に馴染みがある分、チーズなどの少しクセの強いイタリア食材が苦手な方にも、楽しんでもらいやすくなるんじゃないかなと。可能性が広がるようにも思っています」

一方で、あくまで“本場らしさ”にこだわる点は、ヨーロッパで6年間滞在し、大衆店から星付きレストランまで幅広い店での修業をしてきたファビオシェフならでは。レシピ作りにおいては一貫して、「イタリア人のシェフだったら、どう考えるか」という視点を大切にしているそう。
「例えば味噌は個性が強いため、分量や取り入れ方のバランスを誤ると主役になってしまう。それだと日本人シェフがアレンジした和風パスタになってしまい、イタリア人のシェフたちが作る料理からはかけ離れてしまうと思うんです。自分の核にあるのは、本場のイタリア料理を作ること。今回も、調理法や味付けのベースは守りつつ、そこにいかに日本の発酵食品を調和させるかをテーマとしました」

味噌が広げる、シーザーサラダの可能性
考案したメニューは、家庭でも真似できる3種類。まず前菜として供されたのは、「シーザーサラダ マルコメ エディション」。定番のシーザーサラダをベースに、「プラス糀 生塩糀パウダー 黒胡椒ブレンド」でマリネしたしっとりした鶏ハム、味噌風味のカリッとしたクルトンなどが組み合わさり、多様な風味、食感を楽しめる華やかなひと皿だ。
「シーザーサラダの発祥は1920年代のメキシコ。イタリア系移民だったシェフが考案したものだと言われていて、実はイタリアの魂が詰まった料理なんですよね。その核とも言えるのが、仕上げに加えるパルミジャーノ・レッジャーノです。今回はそのうま味を、味噌で置き換えようと考えていきました」
ポイントとなったのは、「オーガニックみそパウダー 野菜だし」を取り入れたこと。味噌のうま味とほのかな香りが全体をしっかりまとめてくれる。
「当初は使う予定はなかったんですが、たまたま食べてみたらおいしくて。マルコメさんのこの商品は優しいので、水っぽくて柔らかい味わいのサラダにもうまく馴染むなと。振りかけるだけでそのまま使える手軽さも、家庭では嬉しいですよね」

パスタにも味噌を。イタリア伝統の調理技法でやさしい風味に
前菜に続いて2種類のパスタも振る舞われた。
まず日本でも根強い人気を誇る定番のボロネーゼは、ひき肉の代わりに大豆ミート「ダイズラボ 大豆のお肉ミンチ レトルトタイプ」を使って作られた。口に入れると、ジューシーな食感で、味わいは驚くほどにお肉そのもの。レトルトタイプの商品を使用するため、解凍や湯煎の手間なくすぐに調理が始められ、栄養豊富でヘルシーと、良いことずくめのメニューだ。
「僕自身も、“こんなにおいしくできるんだ”と先入観を覆されたメニューです。イベントに先駆けてこのレシピをご提案した試食会では、『言われるまで大豆のお肉だと気づかなかった』とコメントされる方がたくさんいらっしゃいました」
おいしく活用するには、ちょっとしたひと手間も。
「植物性ゆえお肉に比べるとコクが足りないので、生味噌で補いました。また甘みの補強には、ホールトマトに比べて酸味がマイルドで甘みが強いトマトピューレを。イタリアで古くから豆料理に欠かせないフレッシュなローズマリーを加えて炒めると、本場感がグッと増します」
そしてもう一種類のパスタは、「豚バラ、アサリ、茄子 スパゲッティアーリオオーリオ仕立て」。「プラス糀 生塩糀パウダー 黒胡椒ブレンド」でマリネされたジューシーな豚肉を筆頭に、味噌汁を飲んでいるかのようなうま味に思わずほっとしてしまう、優しいペペロンチーノだ。お皿の底に生味噌を敷くことで、ほどよくパスタと絡んで豊かな風味を醸し出していることも魅力の一つ。

「ボロネーゼに比べると、少し創作性に富んだひと皿に仕上げました。と言っても、ニンニク、唐辛子、イタリアンパセリというペペロンチーノの基本要素は忠実に取り入れ、日本の食材や味噌をアクセントとして加えています。お皿の底に敷くというのは、実は40年ぐらい前に流行ったイタリア料理の技法。それを味噌で再現したことで、香りも味もほどよくパスタに寄り添ってくれています」

それぞれのレシピを家庭で再現する際には、「味噌は生かしつつも、野菜や食材は手に取りやすいものに替えて、自由に楽しんでもらえたら」とファビオシェフ。
腸内環境の改善や、免疫力のアップにも効果を発揮するとも言われる発酵食品。いつものように和食のなかで楽しむのもいいけれど、ときには本場のイタリア料理を引き立たせる名脇役として、食卓に取り入れてみてはいかがだろうか。
家庭でも真似できる、発酵食品を使ったファビオシェフのイタリアンレシピ
大豆のお肉のボロネーゼ

材料(2人分)
●タリアテッレ(平打ちパスタ)………………140g
●〈マルコメ〉「ダイズラボ 大豆のお肉ミンチ レトルトタイプ」………………100g
●玉ねぎ(みじん切り)………………1/4個
●ニンニク(すりおろし)………………一片
●ローズマリー(みじん切り)………………1枝
●赤ワイン………………大さじ1
●トマトピューレ………………240g
●〈マルコメ〉「プラス糀 生みそ 糀美人 なめらか」………………10g
●オリーブオイル………………20g
●バター………………10g
●塩・胡椒………………各適量
●パルメザンチーズ………………お好み量
作り方
①ボウルに戻した「大豆のお肉」、塩ひとつまみ、黒胡椒、すりおろしたニンニク、赤ワインを加えてよく混ぜ、10分ほど馴染ませておく。
②フライパンにオリーブオイル、バター、ニンニク(※すりおろした時に残った塊の部分)を加えて中火にかけ、香りが立ってきたら玉ねぎを加える。塩をひとつまみふり、しんなりするまで4分ほど炒める。
③下味をつけた「大豆のお肉」を加え、ローズマリーも加えて、香ばしくなるまで中火で炒める。
④トマトピューレと「糀美人 なめらか」を加え、ひと煮立ちさせてソースのベースを完成させる。
【仕上げ】
⑤2Lの湯に塩30gを加え、タリアテッレの袋の表示通りに茹でる。
⑥茹で上がったパスタをフライパンのソースに加え、手早く和える。
⑦皿に盛り、仕上げにパルメザンチーズと黒胡椒をふって完成。
豚バラ、アサリ、茄子スパゲッティアーリオオーリオ仕立て

材料(2人分)
●スパゲッティ………………140g
●豚バラスライス………………8枚
●〈マルコメ〉「プラス糀 生塩糀パウダー黒胡椒ブレンド」………………適量
●茄子(素揚げ)………………2本(約240g)
●アサリ出汁(※下記参照)………………200㏄
●白だし………………15g
●ニンニク(潰す)………………2片
●唐辛子………………1本
●イタリアンパセリ(刻む)………………6g
●オリーブオイル………………45g
●みょうが(スライス)………………2本
●〈マルコメ〉「プラス糀 生みそ 糀美人 熟甘」………………2g
作り方
①豚バラに「生塩糀パウダー」をまぶし、10分以上置いておく。
②お皿に「糀美人 熟甘」をハケなどを使って薄く塗りのばしておく。
③フライパンにオリーブオイル、潰したニンニク、唐辛子を入れ中火にかけ、ふつふつするまで温めて弱火に。
④素揚げした茄子、アサリ出汁、白だしを加え、沸かしたら火を止めておく。
⑤豚バラをソースにさっとくぐらせて火を通し、バットに取り出して余熱調理。
⑥茹で上げたスパゲッティを加え、イタリアンパセリ・みょうが・豚バラを混ぜ合わせて皿に盛り付ける。
【アサリ出汁】
材料
●ミネラルウォーター………………2L
●アサリ………………1kg
作り方
①砂抜きしたアサリと水を鍋に入れて加熱し、口が開いたら弱火に落とし、1.5Lになるまで煮詰める。
②火を止めて冷まし、シノワで濾して完成。
シーザーサラダ マルコメ エディション

材料(2人分)
●水レタス………………1/2個(約140g)
●シーザードレッシング………………大さじ2
●季節のハーブオイル(※下記参照)………………小さじ1
●糀でマリネした鶏ハム(※下記参照)………………60g
●ミニトマト………………4個
●レモン(くし切り)………………1/8個分
●味噌風味クルトン(※下記参照)………………16個
●ゆで卵(卵黄のみ使用)………………1個分
●〈マルコメ〉「オーガニックみそパウダー 野菜だし」………………少々
●パルメザンチーズ………………10g
●エディブルフラワー………………適量
作り方
①水レタスをよく冷やし、1/4サイズにカット(くし切り)にする。
②ボウルにカットしたレタス、シーザードレッシング、ハーブオイルを加えて軽く和える。
③鶏ハム、ミニトマト、味噌風味クルトン、レモンの果肉・皮をレタスの間に挟みながら盛り付ける。
④皿にゆで卵の卵黄を粗く砕いて散らし、「みそパウダー」をまぶす。
⑤エディブルフラワーとパルメザンチーズを飾って完成。
【季節のハーブオイル】
材料
●行者ニンニク………………100g
●米油………………150g
作り方
①行者ニンニクを刻み、米油とともにブレンダーまたはミキサーで攪拌。
②シノワにペーパーを敷いて1日かけて濾過をし、静置する。
③絞り袋に移し、下層の水分を捨ててオイルのみを保存・使用。
【糀でマリネした鶏ハム】
材料(2人分)
●鶏むね肉………………1枚(約250g)
●〈マルコメ〉「プラス糀 生塩糀パウダー 黒胡椒ブレンド」………………適量
●オリーブオイル………………大さじ1
作り方
①鶏むね肉全体に「生塩糀パウダー」をまぶし、30分ほど常温で置く。
②ジッパー付きの真空調理袋に入れ、オリーブオイルとともに低温調理器で芯温63℃を目安に90分加熱。
③粗熱が取れたら繊維に沿って手で割いて使用。
【味噌風味クルトン】
材料
●食パン(3枚切り)………………1枚
●〈マルコメ〉「オーガニックみそパウダー 野菜だし」………………5g
●オリーブオイル………………大さじ2
作り方
①食パンの耳を除き、白い部分を棒状→サイコロ状にカット。
②フライパンにオリーブオイルを引き、弱〜中火で焼き色がつくまでじっくり加熱。
③容器に取り出し、熱いうちに「みそパウダー」をまぶして完成。