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水族館で出会いたい、水の生き物図鑑 〜海獣編〜

海獣とは海に生息する哺乳類の呼称。イルカを含む「鯨(くじら)類」、ジュゴンなどの「海牛(かいぎゅう)類」、アシカなどの「鰭脚(ひれあし)類」、「ラッコ」から成る。主に断熱のための厚い皮下脂肪を持つ。水族館で出会いたい、個性豊かなを海獣を紹介。

photo: Megumi Seki / text: Masae Wako

ワモンアザラシ

リング状の斑紋を持つ最も小さいアザラシ

ワモンアザラシ
食肉目アザラシ科。別名フイリアザラシ。北半球の北部に分布。体長130cmほど。漢字では「輪紋海豹」。背中側の斑紋に丸い縁取りがある点がゴマフアザラシとの違い。流氷上で出産し、新生児は純白の産毛に包まれている。

©おたる水族館

バイカルアザラシ

大きな黒目が特徴。淡水だけに棲(す)むレア海獣

バイカルアザラシ
食肉目アザラシ科。シベリアのバイカル湖周辺に生息。世界で唯一、淡水のみに生息するアザラシだ。バイカル湖の透明度の高い水中で獲物を探すため、眼球が大型化した。体長100~140cmと小型で潜水が得意。肉食。

写真提供:鳥羽水族館

セイウチ

大きな牙は武器でもあり氷に穴を開ける道具でもあり

セイウチ
食肉目セイウチ科。主に大陸棚の上にある流氷域に生息する鰭脚類。オス・メスともに犬歯(牙)が発達。口の周りに密集する硬いヒゲを使って海中で獲物を探す。体長は3~4m。皮膚は厚い脂肪で覆われている。

写真提供:鳥羽水族館

ジュゴン

飼育は日本に1頭だけ。人魚伝説のモデル!

ジュゴン
海牛目ジュゴン科。インド洋や太平洋西部に分布。全長約3m。国内での飼育展示は〈鳥羽水族館〉のみ。象のような質感の体表には敏感な感覚毛が生える。海底に生える海草を食べ、体長の約10倍の長さの腸を持つ。

アフリカマナティー

正面顔がかわいい!ふくよかな海牛類

アフリカマナティー
海牛目マナティー科。アフリカ大陸の西海岸に生息。海水域と淡水域を移動する。体長4.5mほどで主に水生植物を食べる。オールやしゃもじのような尾ビレを持ち、潜水が得意。日本で見られるのは〈鳥羽水族館〉の2頭のみ。

写真提供:鳥羽水族館

トド

鞣し革のような皮膚に黒く大きなヒレ

トド
食肉目アシカ科。北太平洋に分布。最大全長330cmでアシカ科最大種。オスの成獣は後頭部の体毛が伸長し、たてがみ状になる。主に岩礁が多い海域に生息し、昼は岩場に上陸して休む。名前はアイヌ語の鞣(なめ)し革という意味を持つトントから。

©おたる水族館

カリフォルニアアシカ

俊敏な動きが得意な“アシカショー”の王者

カリフォルニアアシカ
食肉目アシカ科。主に北東太平洋や北アメリカ大陸西岸に生息。運動能力が高く、水族館のショーでよく活躍している。〈上野動物園〉では戦前より飼育展示されていた。成長したオスは額がコブのように盛り上がる。

写真提供:鳥羽水族館

ラッコ

国内の水族館には3頭のみの絶滅危惧種

ラッコ
食肉目イタチ科。北太平洋北部に生息。良質の毛皮を持つために乱獲され世界的に減少。海面で仰向けになり、お腹の上に置いた石で貝を割って食べる。体毛密度が高く、1cm2に10万本以上の綿毛が密生。浮力と断熱に役立つ。

シロイルカ

多彩な声を発する“海のカナリア”

シロイルカ
鯨偶蹄目(くじらぐうていもく)イッカク科。別名ベルーガ。北極海やベーリング海北部に分布。前頭部にメロンと呼ばれる脂肪組織があり、エコーロケーション(反響定位)にも利用。口笛のような音声を発する。体長4〜5m、体重1~2トン。

©名古屋港水族館

イロワケイルカ

活発な泳ぎに目が釘づけ。別名はパンダイルカ

イロワケイルカ
鯨偶蹄目マイルカ科。南インド洋ケルゲレン諸島などに分布。白黒コントラストが美しい世界最小クラスのイルカ。高速で泳ぐことが多く、仲間とは胸ビレ前縁の小突起を擦り合わせてコミュニケーションをとる。体長約150cm。

ネズミイルカ

世界的にもレアな北国の小型イルカ

ネズミイルカ
鯨偶蹄目ネズミイルカ科。北半球の寒冷な沿岸域に分布。体長1.7mほどの小型のイルカ。海面近くに生息し、くしゃみのような音を立てて潮を吹き呼吸する。複数での展示は世界的に珍しく、日本では〈おたる水族館〉のみ。

©おたる水族館

スナメリ

つるつるの肌を持つ、背ビレのないイルカの仲間

スナメリ
鯨偶蹄目ネズミイルカ科。中国沿岸から日本沿岸に分布。東京湾や名古屋港、大阪湾にも生息する身近な海獣。体長約2m。鯨類で唯一の天然記念物だ。神経質でトレーニングは難しいが、ニコッと笑ったような顔が印象的。

写真提供:鳥羽水族館

シャチ

白いアイパッチが目印。海における食物連鎖の頂点

シャチ
鯨偶蹄目マイルカ科。熱帯を含む世界中の海に生息する。体長は5~7mで泳ぐ速さは時速50km以上。両目の上方にアイパッチと呼ばれる白い模様があり、仲間同士での位置確認などに使う。群れで襲ってクジラも食べる。

©名古屋港水族館