Listen

Listen

聴く

今こそ聴きたい、幸福感溢れるカントリー音楽。注目のシンガー、眞名子新がその魅力と推薦盤を語る

EP『カントリーサイドじゃ普通のこと』から、矢継ぎ早に発表された新曲「網戸」が、現在CMソングとしてオンエアされ、注目の的になっている眞名子新。歌とギターの叙情的なメロディから、多幸感溢れるバンドサウンドまで。新進気鋭のカントリーシンガーだ。そんな彼に、自身の音楽性のルーツとカントリー音楽の魅力を語ってもらった。

text: Katsumi Watanabe

「網戸」
すき家「うな牛」のCMソングとしてオンエア中の新曲。爽快なバンドサウンドに、夏休みの一幕を想起させる歌詞がしみじみくる。EP『カントリーサイドじゃ普通のこと』と併せ、まだ続く夏のBGMとして最適。

「2016年から地元で、神戸のあらたという名義で活動していました。フォークミュージックやハナレグミさんからの影響で、ギターの弾き語りが中心。

コロナ禍で音楽活動からいったん離れていた時、アメリカのカントリーバンド、ザ・ルミニアーズが、コロンビアの〈KEXP〉で行ったライブ動画を観たんです。ステージと客席の一体感が強く、会場の幸福感が伝わってきて、“こんな幸せな音楽があるんだ”と感動しました。

その影響を受け、歌とギターを中心にしたバンド編成で、また音楽をやろうと思い、現在一緒に活動しているドラマー兼マネージャーの谷朋彦さんに相談し、完成したのがデビューシングル『僕らの大移動』でしたね」

カントリーは、アメリカのルーツ音楽の一つで、英国からの移民たちの民謡やフォークなどと、ブルースやゴスペルが融合したもの。日本ではソルティー・シュガーの「走れコウタロー」(1970年)、乾いた音色の弦楽器・バンジョーを用いたaiko「ボーイフレンド」(2000年)などがある。

改めて、その音楽性を教えてもらった。「例えば、CGFのようなシンプルなコード進行しか使わない。それでも表情は豊かで、基本的には、みんなで楽しむために機能しています。メロディは叙情的で、グッとくるものが多い。

複雑なコードを使えば、いろいろな音楽の方向へ飛べると思うけど、頑ななまでにシンプルな思考が、かっこいいと思ったんです。今はとにかく明るく、楽しい音楽が聴きたい。来年には、そんなアルバムを作りたいと思っています」

眞名子さんオススメのカントリー3選!

『The Lumineers 』 ザ・ルミニアーズ
2005年結成。カントリーの聖地・デンヴァーを拠点に活動するバンドのデビュー作。「楽しい『Stubborn Love』もあれば、美しい『Charlie Boy』など、全曲最高」(眞名子、以下同)。
『Stick Season 』 ノア・カーン
グラミー賞にノミネートされた新人。「僕と同じ27歳で、昨年テキサスのフェス『ACL』に出演したので観に行きました。声とエレキギターの相性が素晴らしい」。
『Burn The Hard Drive 』 ジェイド・バード
カントリーやフォークの影響を受けた英女性シンガー。「新しいEPに入っている『C.O.M.P.L.E.X』などは、僕がやりたい方向性に近いんです」