「仕事柄重い機材を運ぶことも多く、動きやすい方がいいので」タフなミリタリーやワークウェアを愛用する三部正博さん。その点、7年前に購入した〈メゾン マルジェラ〉のジャケットは理想的だった。
「車の乗り降りの時に邪魔にならない丈の長さも気に入りました。ハイブランドの服は高価なので丁寧に扱いがちですが、これはコットンだし、ラフに普段使いした方がかえって良さそう。汚れてもそれが味になるはず、と勝手に解釈しています」

ただ、年を重ねたことでダメージ具合には気を使うように。「若い頃はボロボロの服でも成り立っていた気がしますが、40歳を過ぎると肌とのバランスなども相まってみすぼらしく見えてしまいかねない。でも、〈メゾン マルジェラ〉のエイジング加工には品格が感じられるので今でも手に取れそうです」

仕事道具であるカメラは、新品よりも中古を選ぶことが多い。「昔のフィルムカメラは、使っているうちに黒い塗装が剝げて真鍮(しんちゅう)があらわになることも。単純に見た目のかっこよさもありますが、いろんなものをたくさん持っているよりも、限られたものを大事に、手直ししながら使い続ける方が素敵だなと思いますし、そうありたいです」
一方で、自身の作品については過去にはとらわれないようにしている。「過去の作品を見ないようにしているわけではないのですが、明日撮る写真の方がより良いはずだと信じているんです」

