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黒柳徹子、古舘伊知郎、鈴木健二 etc. 歌謡史を彩った名口上。構成作家・寺坂直毅の6選

前口上、それは司会者から歌手に渡されるバトン。歌謡史を彩った名口上をぎゅっと厳選。

黒柳徹子

『ザ・ベストテン』と『紅白歌合戦』の司会を務めた黒柳さん。この口上の見せ場といえば、「暴れ盛り」というキラーワード。歌手との距離感も近いからこその言葉です。ちなみに自ら書いた手のひらのカンペを読むスタイルだそう。

青い珊瑚礁/松田聖子(1980年紅白歌合戦)

暴れ盛りの男の子たちに、優しい気持ちを芽生えさせました。
松田聖子さん「青い珊瑚礁」です。

古舘伊知郎

この口上の一番の特徴といえば、あえて曲名を言わずにイントロでわからせる手法。1995年のこの口上は混沌とした一年をたっぷり振り返りつつ、最後に「この歌です」と言い放つ。後に流れてくるのは誰もが知るあのイントロです。

上を向いて歩こう/南こうせつ(1995年紅白歌合戦)

大晦日、普通ですと、この時間あたりから、
そろそろ人は、去り行く年に別れを告げて、
そしてそれから数時間しか経っていないのに、
新たな年になって夜が明けると、いそいそとして、
郵便受けに行って、分厚い年賀状の束を受け取っていたりする。
気持ちが切り替わるわけです。
しかし今年は本当に、再三申し上げているように、
いろんなことがありました。
そういった意味では、簡単に気持ちを切り替えられないという、
そんな方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、歌の効能というのがあります。
歌は気持ちを前向きにしてくれます。
どうか、これから、この曲が流れてきたら、
ご家族で今ご覧の方はですね、一緒に歌ってみてください。
そして一人っきりの方は、つぶやくように。
また、歌うのが恥ずかしいという方は、
どうか心の中で歌ってみてください。
南こうせつさんが歌ってくれます。この歌です。

鈴木健二

NHKの名アナウンサーで、一切台本を持たなかったという天才肌。紅白前には、1ヵ月かけて歌手に話を聞きに行き、当日蓄積されたワードを即興で組み合わせていたそう。北島三郎さんは鈴木さんの前口上が好きだったという話も。

2億4千万の瞳/郷ひろみ(1984年紅白歌合戦)

郷ひろみさんが登場します。
このくらい「青年」という言葉がぴったりくる人を、
私はほかに知りません。
今、歌の世界が新しく開けました。
それがこの「2億4千万の瞳」というのです。

久米 宏

久米さんの場合は、『ザ・べストテン』をニュース番組として捉えていたので、情報の鮮度が高い。台本には「取材」としか書かず、当日取材を行うスタイルだったそう。茶目っ気ある内容も久米さんのうまいところですね。

おもいで酒/小林幸子(1979年ザ・ベストテン)

人は見かけによらないと申し上げたらよろしいんでしょうか……。
小林さんはスポーツカーが好きなんですけど、
そのスポーツカーも最近運転する暇がなくて、
お宅の車庫でホコリを被ってるんだそうでございます。
今週の第7位です。小林幸子さん、「おもいで酒」、まいりましょう。

佐良直美

紅白歌合戦紅組司会を最多務めた佐良さん。自身が歌手ということもありイントロを邪魔しないリズム感ある言い方で歌手の心情に寄り添う口上の名手。特にクセになるのはネイティブ並みの発音で叫ばれる「キャンディーズ!」。

春一番/キャンディーズ(1976年紅白歌合戦)

青春、それはキャンディーズ。
キャンディーズは輝き。
キャンディーズはときめき。
そして、キャンディーズはさわやか。
まるで春風のように。「春一番」キャンディーズ。

山川静夫

1974年から82年まで白組司会を9年連続で担当した山川さん。文学に精通しており「爪の先までびっしりの魅力」の部分は言葉のチョイスが本当に美しい。歌舞伎の声色も得意で、「トーキーオー」と伸ばすところも聞きどころです。

TOKIO/沢田研二(1980年紅白歌合戦)

季節が変わればジュリーも変わる。
研ぎ澄まされた男の美学が爪の先まで
びっしりの魅力をふりまいて80年を彩りました。
それ行け「TOKIO」沢田研二さんです。