静けさと熱狂。対照的な二人のラブソングが街と溶け合う
18時を少し過ぎた頃。1日降り続いていた雨がやみ、涼しい夜風に包まれた〈Ginza Sony Park〉の屋上では、来場客がライブの始まりを今か今かと待っていた。「BRUTUS LOVE SONG NIGHT with AUGER」は、10月15日に発売された「特集 ラブソング」と連動した一夜限りの企画。二人のアーティストが“ラブソング縛り”で演奏を披露するこのライブは、グルーミングツールブランド〈AUGER〉によるサポートのもと、抽選に当たった100名が無料で招待された。
この日のためだけに設置されたステージにパッと明かりが灯り、MCのCaseyさんが姿を見せると、いよいよ幕開け。まず呼び寄せられたのは、アコースティックギターを抱えた優河さんだ。リリース前の「All the words you said」、そして18歳の時に初めて書いた楽曲「愛を」を皮切りに弾き語りでのパフォーマンスが始まる。深くのびやかな歌声とギターの豊かな音色が、車が行き交う音やクラクション、街の喧騒と自然に溶け合い、辺り一帯に心地よく響き渡っていった。
「とっても大好きな友達に向けて書いた曲。すごく落ち込んでいて、今にも消えてしまいそうで、でも私は何もできなくて。できることは、ただ、そこにいてほしいと願うことだけでした」。そう語り、歌い始めたのは「泡になっても」。“ただ行かないで”という切実で大きな愛の込められた歌詞がこだまし、来場客はじっくり聴き入る。
その後も、2019年リリースの「めぐる」、ベッド・ミドラーの「The Rose」のカバー、そして亡き祖母への思いを込め、自分の中では最大のラブソングだという「灯火」の、全6曲を披露した優河さん。会場中がその静かな優しさに包み込まれた、美しい30分間だった。
ラブソングの名曲が、雨上がりの銀座に響く

束の間の休憩を挟んだのち、ライブは後半戦へ。続いて、バンドメンバーを引き連れ、真っ赤なシャツに黒のスーツ姿で颯爽とステージに現れたのは岡村靖幸さん。1曲目の「できるだけ純情でいたい」から、会場の温度を一気に引き上げる。「マガジンハウス!ブルータス!ノッてくぜ!」と煽ると、会場中も大きな歓声で応え、「揺れるお年頃」「彼氏になって優しくなって」、そして「19(nineteen)」と、新旧の名曲を次々に披露。もちろん、マイク片手に、キレのあるダンスも健在だ。続くバラード「イケナイコトカイ」では、会場は一転、しっとりとしたムードに。紫の照明で照らされた岡村さんが繰り出す妖艶な歌声が、銀座の街にじんわりと染み渡っていく。
「愛はおしゃれじゃない」「あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう」、そして「だいすき」と、岡村さんのキャリアを象徴する代表曲が続くと、会場の盛り上がりは最高潮に。途中、岡村さんが来場客側にマイクを預ける一幕もあり、オーディエンスの大熱唱が夜空に轟いた。そして、熱気冷めやらぬままに突入したアンコールでは、ロバータ・フラックの「Feel Like Makin’ Love」をカバー。MCを挟むことなく、全力疾走のままに全9曲を完遂した。
ステージをサポートした〈AUGER〉のブースも

熱気に包まれた会場の一角では、今回のライブをサポートした〈AUGER〉も特設ブースを出展。1908年創業のグローバル刃物メーカーの貝印より2022年に生まれたブランドで、「心に触れて“整える”時間」を標榜し、高い機能性とデザイン性を兼ね備えたグルーミングツールを展開している。会場には、ブランドを象徴するシステムカミソリを筆頭に、ハサミ、電動トリマー、ツメキリなどがずらりと並び、ライブの前後には、製品を眺めたり、実際に手に取ったりするべく、ブースを訪れる来場客の姿も多く見られた。
身だしなみを整えることと、ラブソングに耳を傾けることは、いずれも自分と向き合い、心を整えるという意味で通じるもの。岡村靖幸さんと優河さんという対照的なふたりのアーティストが届けたラブソングだらけのライブパフォーマンスは、〈AUGER〉の哲学とも共鳴し、来場客たちの心を穏やかに、そして豊かに満たしたまま、余韻とともに幕を下ろした。

Coming Soon! 伝説の一夜が再び

まさに伝説の一夜となった今回のライブだが、現在、映像の有料配信を準備中。足を運んでくれた方にも、観ることができなかった方にも、記念すべき夜を追体験してもらえるはずだ。











