大きな窓辺で創作すれば音楽も外に開いていく
楽家として、ソロからアンサンブルでの活動、音を使ったインスタレーションまで、形式に縛られず、自身の創作を更新し続ける蓮沼執太さん。
「暑すぎても寒すぎてもダメで心地よい環境は大切」という蓮沼さんは、個人スタジオのほかに、近くの大きな窓のあるシェアオフィスにも入居していて、共有スペースで作曲をすることも多いという。「世代や性別、ジャンルの違う人たちとアンサンブルをやるのは、大変だけれど刺激的で面白い。それと同じで、ここに入居するメンバーと関わることで、音楽が建築や未知の領域へも広がる可能性を持てるんですよね。アイデンティティに固執せず、何かに反応して作るものが変わっていくことを楽しんでいます」
周囲からの影響を積極的に受け入れ、思わぬ変化に反応していく。そんな蓮沼さんの音作りは、窓の外から聞こえる騒がしさすらも排除することはない。
「基本、音楽を作るときは外の音が聞こえないように、窓を閉めるのが常識です。だけど僕は、あえて窓を開けて録音をしたりもしています。そうするとカラスの声や雨の音などのノイズが入ったり、こちらの音が出ていったりもしますが、そうして互いに作用し合いながら作ることが大切なのかなと」
自身も予測がつかない方向に音楽が転がっていくのが面白いし、風通しがいい方がフレッシュな気持ちにもなれるという。
「音楽って“状態”であって、固定化されずに流れていくようなものだと思うんです。だから僕は、人間が作るものは、人工物のように見えて大きく捉えると自然物であるという意識でやっています。もしかしたら窓も、そうした文明の一つかもしれません。景色が見えて外の自然とつながることができるのに、外界からは守られている。生存に欠かせない人間の知恵や歴史の結晶であり、気持ちを育んでくれるものでもあります」
今年の七夕には、このオフィスの窓の一列を開けて、蓮沼執太フィルによるフリーライブを開催。窓の外には200人を超えるファンたちが集まった。「アンサンブルでやっている、都市に音楽を落とす試みの一つでしたが、窓が外と中をつなぐ象徴となり、街に音を開放するパフォーマンスになりました」
また、六本木の〈21_21 DESIGN SIGHT〉で開催中の『ゴミうんち展』では、音響から環境問題にアプローチする作品を制作。「植物の幹が水を吸い上げる音を題材にした作品には、普段は聞こえない声に耳を澄ますという姿勢のメタファーを含んでいます。環境問題に対しても、普段の生活の中で自分ができる身近な取り組みをする以外に、アーティストとして、僕は僕なりの方法で社会に創造性を促す伝え方をしていきたいと考えています」
未来を創る窓、 GREEN WINDOW
GREEN WINDOW、まずはこれから
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