窓の外に感じるのは予測不可能な自然の存在
壁一面に広がる窓から柔らかな光が差し込む、開放的な空間。東京を拠点とするデザイナーの吉泉聡さんが2021年、仙台市に構えたサテライトオフィスだ。週1度はここに足を運び、窓の外を眺めながら自身の創作と向き合っている。
「東京にいるとインプットが多いから、何かと慌ただしくて。もう少しじっくりと考え、手を動かして作ることができるような場所があってもいいのかなと。ここでは室内にいながら、窓を通して外の変化をダイレクトに感じられるのもいいんですよね」
公園の緑と山を望む風景は、季節や天気で移り変わる。夏は青々とした木々に囲まれ、花火が見えたり、冬は雪に覆われて真っ白になったりする。屋内にはあえて、使い方が固定された既製の家具などは置かない。
自身がデザインする作品やインスタレーションでは、明らかに人工的な素材を用いながら、重力などコントロール不可能な自然に造形を委ねたものも。
「素材がただ並べてあるような空間にしているのは、人間が目的や機能を考えて作ったものに囲まれていると、柔軟な発想が出づらいと感じるから。特定の意味を持たないものや、予測不能な自然界を見ていた方が、いろいろなインスピレーションが湧く。そういうものとつながれる場に身を置きたいんですよね」
「例えば“削掛”(けずりかけ)という祭具の意匠は、木が作らせたとも言えるもの。そこに神聖なものすら感じる能力が、本当は人間にはある。環境問題に向き合ううえでも、そうした感覚が重要だと思っています。雪深い東北の過酷な自然環境に触れて思うのは、もの作りの根底に、制御できない自然と向き合い、人間が元来持っていた、失われつつあるプリミティブな感覚を駆動させられるようなものが求められているのではないかということなんです」
それは例えば、雨が降りだすことを空模様や匂いから感じ取れるような、合理的なデザインに誘導されすぎない、本能的な感覚を育てられる創作物だ。
「人間のために役立つという視点だけでなく、自然や世界との媒介をしてくれる存在としてプロダクトデザインを考えていくのが大事なのかなと思いますね。もともと自然環境というのは過酷で、それこそ家に壁や窓がなければ、熊だって入ってくるかもしれない。都市は自然界にあって、人間がある種どこまで暮らしやすい生活環境を育めるかという実験の場とも言えますよね。その中で窓は、身を守るための実用的な工業製品であり、世界をどう感じ取れるかというインターフェースとして、身体性をアクティベートしてくれるプロダクトとして、最も身近に自然との境界を感じさせてくれる。大切な存在だと思います」
未来を創る窓、 GREEN WINDOW
GREEN WINDOW、まずはこれから
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