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〈LE LABO〉から、京都でしか手に入らない待望の香りが誕生

フレグランスブランド〈LE LABO〉。人気の「シティ エクスクルーシブ」コレクションに、「京都」が登場。併せて、ショップ〈LE LABO KYOTO MACHIYA〉も、他にはない唯一無二の展開が話題となっている。経年変化の美を重んじるブランドの新たな挑戦とは?木屋町に登場した白い暖簾、ぜひともくぐってみてほしい。

photo: Yosuke Tanaka / text: Yusuke Nakamura

京都限定の香り〈OSMANTHUS 19〉が登場

ニューヨーク発のフレグランスブランド〈LE LABO〉。世界の香水好きを魅了してやまないこの“研究所”には、世界の各都市に捧げられた特別なフレグランス、その都市でしか手に入れられない限定の香り「シティ エクスクルーシブ」と題された人気コレクションが存在する。

日本にはすでに「東京」の香り〈GAIAC 10〉があり、この限定コレクションの中でも群を抜いて人気だ。1つの国で複数の都市の香りがあるのは、ブランドの本拠地であるアメリカのみだが、今回、そのシティ エクスクルーシブ コレクションに新たに「京都」が仲間入りし、日本に2つめの都市限定の香りが登場する。その名は〈OSMANTHUS 19〉。オスマンサスとは金木犀。ほんのり甘く柔らかな香りで、どこか奥ゆかしさを感じさせる、温かみのある風合いが特徴だ。京都の伝統や格式だけではなく、新しい側面も表現した香りだ。ちなみに金木犀の花言葉は「謙遜」。GAIAC 10同様に、最初に強い印象は残さずだが、時間の経過によって移ろう香りや余韻がじっくりと味わえる。

金木犀は日本では秋の香りの象徴として評される。〈OSMANTHUS 19〉は、はっきりと表には出ない優しい香りで、フローラル系というよりはお香の存在に近い。時間とともに変化する香りは〈LE LABO〉の調香の特徴のひとつともいわれる。街中を歩いていると、その姿は見えないが、どこからともなく金木犀の香りがフワッと漂ってくる。まさにそんな奥ゆかしさを持った香りという印象だ。

この香水と一緒に過ごすことで、秋の雰囲気が感じ取れるような感覚を覚えるだろう。その感じ取る、という考え方は日本ならでは。まるで俳句のような、行間を読むというか。そのあいまいさこそが想像力を膨らませる。〈OSMANTHUS 19〉はそんな日本的な、京都的な美しさがある。

町家空間を活かした〈LE LABO KYOTO MACHIYA〉

エクスクルーシブ、といえば2024年3月にオープンした〈LE LABO KYOTO MACHIYA〉も、世界の〈LE LABO〉の店舗の中でも唯一無二の空間となっている。2年近くかけて探した、という物件は木屋町通沿いにある大きな、天高の町家。約150年前に建造され、現在は京都市の景観重要建造物に指定されている、かつての造り酒屋だ。

京都で町家のリノベーションはすでに珍しくないが、その歴史を感じさせる佇まいをここまで活かした空間は他に見当たらないかもしれない。それは〈LE LABO〉が経年変化の美を重視し、侘び寂びの文化をリスペクトしていることにある。他店舗と異なり、定まった内装デザインを踏襲せず、この店舗内にある什器や花器、展示している工具類まで日本で集めたものという。元々この建物にあったシンクも、水回りの銅管とともに再生し、実際に製品を試す場所に使われている。

いくつかのお店には、ブランド名の由縁であるラボがあるが、この店も入り口の暖簾を潜ってすぐ左手に設置されている。香りを選び、購入されるごとにフレッシュブレンディングが行われる。けれど木造の格子戸から見えるシンクやビーカーが並ぶ光景は、和でも洋でもない不思議な世界観。〈LE LABO〉でもここだけの光景だ。

2つの部屋とカフェの世界観を味わい尽くす

〈LE LABO KYOTO MACHIYA〉のスペシャルはまだある。まず、世界で3店舗目となるカフェ〈LE LABO CAFE KYOTO MACHIYA〉が併設されていること。場所は坪庭を挟んで、店内の奥の蔵。ブランドの理念に合わせ、動物性の素材を使用しないヴィーガン カフェで、焼き菓子などもいただける。

そして、もうひとつ。靴を脱いで上がる2階に、「調香の間」と「工匠の間」があること。前者は薬箪笥などが置かれ、調香師の部屋を模した部屋。後者は職人の手仕事を感じられる工具類などが並んでいる。実際に職人が在店し、タイミングが合えば見学することもできる。クラフツマンシップを重んじ、手仕事のプロセスを想像させる展開は〈LE LABO〉ならでは。こちらも世界で初となる試みだ。

いわずもがな、記憶と密接な関係にある香り。京都という都市への記憶として、〈OSMANTHUS 19〉の香りとともに、〈LE LABO〉の哲学によるクリエーションが詰まった空間の気配を想うのはいかがだろう。