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NYで郷古隆洋の記憶に刻まれた〈ル ラボ〉のフレグランスを辿る

雑貨の輸入販売を営む郷古隆洋さん曰く、お店での買い物体験において、香りは切っても切り離せないものだという。フレッシュな印象の〈ル ラボ〉の香水「THÉ MATCHA 26」が漂わせる匂いも、どこか懐かしい、記憶に残る香りだったという。

Photo: Shintaro Yamanaka / Photo: Shu Yamamoto / Text: Takahiro Goko

香りと物のこと。

インテリアの買い付けや販売を生業としているので、物を選ぶことが日々の多くの場面であります。目から入ってくる視覚情報や、手から伝わる感覚を頼りにすることはもちろんですが、意外にも香りという要素も僕の中では重要な決め手になることが多々あるのです。特に古物の仕入れとなると、姿のある「物」と形がない「香り」が必ずと言っていいほどセットです。つまり、その2つの要素が物選びの決め手になることもあるのです。

アンティークショップ
それはアンティークショップにおいても同じこと。店主が店に加えた香りとそこに並ぶ塵を被ったアンテークが空気感と相まって、自分の感覚と一致したりする瞬間があったりします。また、必ずしも嗅ぎ続けたい臭いじゃないけど、黴臭さと古本というように、物本来の持つ香りにたまらなく感覚を刺激されることもあるのです。

海外の店で記憶に刻まれたあの香り。

例えば、海外を旅したときに嗅いだ香りも記憶と密接につながっています。NYのマンハッタンで言えば、ソーホーにあった 〈DE VERA〉や〈Ted Muehling〉〈BDDW〉などのハイエンドなショップに漂っていたポプリの香りがそれで、特に冬場に行くNYでのピンと張りつめた空間の中の、あの香りと物のバランスが、物欲を刺激してくれるのだと思います。もう5年ほどNYから足が遠のいてしまいましたが、イーストビレッジの〈John Derian〉も思い出されます。 

そんなこともあって13年ほど前に 〈ル ラボ〉 がマンハッタンにできて間もないNYに行った際に、自分の店に合ったフレグランスを探しに行ったんです。白衣を着たスタッフに私の店の詳細を伝え、イメージにぴったりのフレグランスをフレッシュブレンディングしてもらいました。ラベルの印刷までしてもらうという、それはもう特別なサービスでした。

店を営む身としては、洋服でいうところのTPOのように、自分の店に見合った香りを漂わせ、買い物の雰囲気から楽しんでもらえるようにと、日々模索したりしています。ふとしたときに、あの店のあの香りだと思わせることは大切なもてなしだと感じています。私自身が感じたように、物と香りを含めた空気感が一致して購買につながることもあるだろうし、ただ単に嗅覚がノスタルジックな郷愁を引き出すだけでもいいのだと。そんなふうに何かを感じてもらうことが店づくりには重要だから、香りも大切な要素なんです。

ル・ラボ(Le Labo)
店ではいつでも香りを補充できるように常備。

NYを思い出させてくれた「THÉ MATCHA 26」のフレッシュな香り。

今回手にした「THÉ MATCHA 26」は、まさにそんな僕の感覚がたくさん詰まっていました。ベースとなるフレッシュでウッディな香りは13年前をフラッシュバックさせ、NYにまた行きたいと思わせてくれました。そして後からほのかに鼻に届く清らかな「THÉ MATCHA 26」の香りが、当時からのアップデートを感じさせます。『あの人の、あの店の香りだ』という印象を残すのに値するものでした。

特に新たにアンティーク商品が入荷し、それを目掛けて多くのお客様が足を運んでくれる日。朝の清掃を終えたあとの店に心地よい香りを漂わせることは、もう自分の中で儀式のようになっているのです。そうやって店で記憶に刻まれた香りは、オンラインショッピングでは味わうことのできない買い物体験の大事な要素になるのです。

話は飛びますが僕が好きな映画に『パフューム ある人殺しの物語』という、18世紀のパリを舞台とした、超人的な嗅覚を持ち香りに取り憑かれた主人公を描いたものがあります。内容はさておき、香りを操るということも空を飛ぶことと同じくらい、人にとって憧れのような行為なのかもしれません。

香りに敏感であること、それは生活、いや人生の中でもとても大切な感覚だと思うのです。

LE LABO/ル ラボ

ニューヨーク発のフレグランスブランド。他のパフューマリーと一線を画す個性的な香りが人気を呼ぶ。また、クラフツマンシップを大切にする姿勢そのままに、〈ル ラボ 代官山〉〈ル ラボ 京都〉では注文を受けてからフレッシュブレンディングをするサービスも。

LE LABO THÉ MATCHA 26 / マッチャ 26 オード パルファム


THÉ MATCHA 26 / マッチャ 26 オード パルファム

新たにラインナップに加わった「マッチャ 26 オード パルファム」は、ウッディで爽やかな印象。ベチバーやシダーウッド、そしてフィグやビターオレンジなど26種の原料から抽出。名前の由来となる抹茶の香りはワンクッション置いて香ってくるのが面白い。日本文化が海外から逆輸入されたような「MATCHA」という英語表記がふさわしいフレグランス。

100mL ¥34,650 / 50mL ¥23,650 / 15mL ¥10,450
1.5mL ¥726(オンライン限定

LE LABO(ル ラボ)お客様相談室

TEL:0570-003-770

lelabofragrances.jp