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地域密着の映画館やレコードショップなど、京都のカルチャースポット5選

古都、伝統のイメージが強い京都。観光ももちろん良いけれど、京都のカルチャーをつくるスポットも抑えておきたい。BRUTUS編集部が徹底取材を行い見つけた、感性が刺激されるカルチャースポット5選をご紹介!

photo: Shinryo Saeki, Yosuke Tanaka, Itsumi Okayasu(ANTENNA) / text: Ado Ishino, Yusuke Nakamura, Daiki Mine(ANTENNA), Daiki Tsutsumi(ANTENNA)

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DELTA / KYOTOGRAPHIE Permanent Space(出町柳)

KYOTOGRAPHIEのDELTAは
今と昔、京都と世界をつなぐ場所

京都に点在する貴重な歴史的建造物や近現代建築など、複数の会場を舞台に開催される『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭』は、2013年から始まった日本では数少ない国際的写真祭。国内外の気鋭の写真家による作品展示を中心に、さまざまな教育プログラムも開催し、写真を通じて建築や歴史にも造詣を深めるアプローチを続けている。

2020年秋に誕生した〈DELTA〉は、KYOTOGRAPHIE初の常設スペースで、1階はギャラリー&カフェ、2階には宿泊施設を有する複合施設だ。DELTAがある出町桝形商店街は、昔ながらの風情で活気あふれる場所。ここから、多種多様な才能が発信されていく。

出町座(出町柳)

地域に密着した商店街に映画館、
生活の中にある文化発信拠点

夕飯の買い物ついでに映画でも。そんなことが可能なシアターが出町柳にはある。昔ながらの雰囲気を残しながら活気ある出町桝形商店街の、もともとスーパーマーケットだった一角を改築し誕生した映画館〈出町座〉。

京都〈出町座〉外観

クラウドファンディングを経て2017年に開館したが、まるで最初からあったような顔で、すでに商店街の風景の一部と化しているから面白い。支配人、いや座長と呼びたい田中誠一さんはここを選んだ当初から「商店街の空気を絶対に邪魔したくない」と考えていた。

つまり目指すはローカルに馴染むカルチャー空間。実際、地域に住む人たちとの交流を図り、映画文化を商店街に溶け込ませてきた。建物の1階にはカフェと書店が入店。単館系作品の上映、だけでなく周囲は学生も多く住む生活圏ということで、若い人たちには観賞後にお茶をしながら感想を話すような映画体験もセットで伝えていきたいと考えている。今、出町柳で暮らしと映画の距離がぐっと縮まっている様子。

THEATRE E9 KYOTO(東九条)

若い芸術文化を
底から支える民間劇場

80年代からダムタイプなど世界に通用するカンパニーや制作者を輩出した京都の小劇場シーン。だが劇場そのものの減少に危機感を持ち、クラウドファンディングなどの有志で建てられた劇場がある。支配人の蔭山陽太さんいわく「伝統芸能も当時は最先端の現代芸術。京都は新しい芸術を提示し続けてきた」。まだ価値の定まらない若者のチャレンジ精神をしっかり支える、このような劇場こそが京都の街を更新していくのだろう。

Meditations(神宮丸太町)

時代の先を行くセレクトが
好奇心を刺激する

新譜レコード・CDを中心にミニマルミュージック、アンビエント、民族音楽など、未体験の世界に引き込まれる作品がずらり。店主・潮田宜久さんは「瞑想」のためにたびたびインドを訪問。その際に買い付けた中古盤、藍染めのバッグやお香も並ぶ。ニューエイジや環境音楽といった、近年注目を集めるジャンルも以前から扱っており、新旧関係なく今新鮮に聴ける音楽と出会える場所だ。

PARALLAX RECORDS(河原町)

内装からも溢れ出る
アバンギャルドな精神

懇切丁寧なポップでレコメンドされたノイズや実験音楽、サウンドアートなどの作品が並ぶ。長らく同シーンを見つめ、「出会ってきたつながりがあるから取り扱える」というオーナー森公保さんの品揃えには芯の通ったDIY精神が窺える。またターンテーブル奏者としても活動する店長・毛利桂さんによる石膏作品や、廃材となったレコードが設置されており、店内にいるだけで雰囲気に陶酔できる。

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