京都〈Books & Things〉。路地奥の格子越しに現れたるは 京間四畳半の洋書古本小宇宙

往来の古本業界にないスタイルの古本屋がここ2、3年で急増中。多くは古本屋での職歴を持たない店主が作る店で、居心地もよく、本との出会いを演出するのも巧み。新たな古本ファンを獲得している“新しい古本屋”を訪ねた。

Photo: Kunihiro Fukumori / Text: Maki Takahashi

チャイムを鳴らしてドアを開け、靴を脱いで畳の間に上がる。まるで誰かのうちを訪ねるように。

「格子を覗き込んでずっと逡巡してる人もいれば、いきなり入ってくる人もいますよ」

一見ナーバスな印象のある店主・小嶋康嗣さんは、どちらもさして気にしていないような口調で言う。京都屈指、いや日本屈指の古美術街の路地奥、洋書だけの古本屋。これはさぞかし面倒な店だろう、という想像をスコーンと裏切られるおおらかさのようなものが実は彼にはあって、その理由は前職がアパレルで、接客のプロであること。

「なにしろ四畳半の空間に1対1ですから。お客さんとの距離や立ち位置にも気をつけています」

几帳面に整えられて書棚に並ぶのは、洋書オンリーで半数以上が写真集。それに、アートや建築、ファッションやデザインなどのジャンルが少しずつ。背の高さや色目を優先して並べているというのも斬新。

「同じ作家のものでも、内容、紙質、装丁すべてを加味し、グラフィックデザイン的に僕が一番いいと思うものを選んでいます」

いきなり書棚に手を伸ばすより、まずはマックス・ビルのウルムスツールに腰かけて、自分の好みや探しものについて、小嶋さんと少し会話してみるのが賢明だろう。小嶋さんが1日1冊レビューを書いているブログを読んで、下調べしてから訪れるのもいい。

京都〈Books & Things〉ブックス・アンド・シングス 店内
京間の四畳半に並ぶ、約600冊の洋書が圧巻。