Read

Read

読む

児島気奈と盟友・ウエストランド。お笑いライブ制作〈K−PRO〉の歴史、19年を振り返る

お笑いライブを制作するK−PRO代表の児島気奈が、その仕事術をまとめた一冊『笑って稼ぐ仕事術』を上梓。長きにわたりK−PROライブに出演してきた盟友ウエストランドと、その歴史を語り合う。11月に赤坂の草月ホールで行われた、3回目となるウエストランドの単独ライブ『FANG!』の公演後、3人で思い出話に花を咲かせた。

photo: Yuya Wada / text: Saki Miyahara

児島気奈

単独ライブお疲れ様でした。単独ライブをする芸人さんたちに苦言を呈しているウエストランドさんですが、お2人がやったらやっぱりすごい。

井口浩之

本当は全然やりたくなかったし、終わった今も達成感はありません。

河本太

K−PROさんで定期的に新ネタライブ『漫才工房』をやっているし、2ヵ月に1度の『タイタンライブ』もあるから、本当は単独ライブをしなくてもいいんですけど。

児島

単独だから観たいというお客さんもいると思いますよ。1時間半たっぷりネタを観られて、私はすごく満足です。

井口

来てくれたお客さんが「これなら単独じゃなくても、他のライブを観に行けばいい」と思ってくれたら本望です。

嫌われ者からチャンピオンへ

児島

2人は2008年くらいからK−PROライブに出てくれていますね。

井口

三四郎など仲の良い芸人が出ていたので楽屋に遊びに行っていたのが始まり。最終的には勝手に出演していました。

児島

ちゃんとネタを観たら、とても面白かったので正式にオファーしたんです。

河本

ありがとうございます。

井口

お前は何もしてないだろ!あの頃からK−PROライブはカルト的人気を誇っていて、どうしても出たかったんです。K−PROの看板ネタライブ『行列の先頭』で前説をやらせてもらうようになり、最近ではトリを任せてもらうようにもなりました。

児島

テレビに呼ばれて忙しくなっても、ライブに出ていただいてありがたいです。

井口

児島さんは、必ず僕たちの出番をランジャタイとかめちゃくちゃやる芸人の後にするんですよ。

児島

そう(笑)。ウエストランドさんに荒れた場を締めてもらっていました。

井口

最初は僕たち、ライブですごく嫌われていたんです。「うるさい」とか「出るな」とかアンケートに書かれて。よく児島さんが呼んでくれましたよ。

河本

集客力も全然なかったし。

児島

「ウエストランドが出るならもう行かない」と書かれたアンケートもあって、私も悪ノリでそれを2人に見せていました。でもそれを笑いに変えてさらにパワーアップしていくのが2人のすごいところですよね。

井口

いつからかライブに出ても何も言われなくなり。

児島

安心してトリを任せられるコンビになりました。そして今ではM−1チャンピオン。井口くんは全然変わらないけど、太くんは人の話をちゃんと聞けるようになった。成長を感じます。

河本

人の話の邪魔をしないようになりました。

児島

相槌も打てるようになったよね。

井口

いい年して、低い次元の話だよ!

河本

K−PROライブでMCをやらせてもらって鍛えてもらいました。

井口

僕がすごく覚えているのは、以前児島さんが「いつか爆笑問題さんにK-PROライブに出てほしい」って言っていたんです。そのとき僕は「出るわけないだろ。何言ってんだよ」と内心思っていたんですが、2023年の5月、ついに『行列の先頭』に爆笑問題さんが出演しました。

児島

夢を叶えてもらって、本当にありがたかったです。

井口

児島さんが燃え尽きちゃうんじゃないかと心配しました。

児島

これからもライブで目の前にいるお客さんを笑わせたいという芸人を増やしていきたいと新たな目標ができました。

井口

児島さんはビジネス書を出すまでになって。本に僕のことをたくさん書いてくれて嬉しいんですけど、突然書かれている僕が楽屋で「なんで僕はこんなに人気がないんだ」と言っていたというエピソード。ビジネス書に関係なくない?

笑って稼ぐ仕事術
『笑って稼ぐ仕事術 お笑いライブ制作K−PROの流儀』
お笑いライブの制作・運営を19年間手がけてきたK−PRO代表の児島気奈が、経験を基に仕事術を紹介するビジネス書。企画を考える方法や、良い仕事をするために意識していることなどテクニックが満載。芸人とのエピソードも多数。文藝春秋/1,650円。

児島

印象に残っていたからつい、書いてしまいました。井口くんから学んだことも、テクニックとしてたくさん紹介させていただいています。

井口

まあ役に立ったならいいんですが。

児島気奈(左)、井口浩之(中央)と河本太(右)。