——rafhooさんは、いつ頃から映像を撮り始めていたのでしょうか?
rafhoo
高校の時に入った放送サークルで初めて動画撮影と編集に携わりました。でも、自分で映像を撮影し始めたのは高校卒業後。父からもらったカメラで友達を撮り始めて、そこで映像制作の楽しさを知りました。
——映像の撮影技術に関しては、どこかで学んだりしたのですか?
rafhoo
全然(笑)。小さな頃からファッションも好きだったので、今は大学のファッション科で学んでいます。映像は完全に独学で、いろいろな映像やビデオアートをディグって学んだ感じです。
——最近触れたカルチャーコンテンツで心に響いたものを教えてください。
rafhoo
ソウル独立映画祭で観た、チョ・ヒョンチョル監督の『너와 나(The Dream Songs)』(2022年)。撮影はHYUKOHのMVなども手がけるDQMさんが担当しているんですが、自然と人の感情を引き出していて、映像から生の感情が伝わってくるんです。
——韓国のインディーズ映画シーン、すごく興味があります。rafhooさんの映像は、物語性がありながらも少しずつ逸脱していくような感じが面白い。作品を例に映像制作のプロセスを教えていただいてもいいでしょうか?
rafhoo
どの曲の映像もそうなんですが、一つのキーワードを見つけるところから作業が始まります。AAAのMV「Antenna」の場合は「愛」でした。また、日常的なストーリーにツイストを加えるのが好き。「愛」とは言っても、人同士のものだけではなく周囲のものに対する愛もあると考え、想像を膨らませていきました。また、アンテナは電波をキャッチしますが、電波そのものの姿は目に見えないし形もないし、手には掴めない。愛も同じです。そうしたイメージを入れたいなと。
——「Antenna」は水を使った表現が面白く、すごく触覚的な表現でしたね。
rafhoo
水と霧を使った表現はすごく好きです。なぜなら、レイヤーが多いから。水の中、水の上、霧の中や外といったように、どこで撮るかによって全然違う表現ができるし、感じ方、伝わり方が変わるオブジェクトだからです。
——これからの韓国を面白くするキーパーソンを教えてください。
rafhoo
Balming Tigerのメンバーでもあるホン・チャンヒさん。彼はAAAのカバー写真のビジュアルも手がけていますが、先進的な表現を取り入れるのがうまくて尊敬できる友人の一人です。実は、今、彼と一緒に写真雑誌『The Foot Book』を制作中なので、楽しみにしてください。
——近年の韓国の音楽シーンで、面白いと思うことを教えてください。
rafhoo
K-POPのメジャーなところにサブカル系のアーティストが絡む実験的な試みが増えてきたのが面白い。代表的な例としては、NewJeansのプロデュースを250さんがしていたり、BTSのRMのアルバムをサン・ヤウンさん、JNKYRDさんらが手がけたり。K-POPとサブカルチャーが接近していて、次のフェーズに向かっているような気がします。
——ソウルで好きな場所は?
rafhoo
新道林というエリアに住んでいます。古い工業団地と再開発された新しい風景が入り交じっていて、近くに安養川が流れています。川沿いや工業団地をイヤホンもせずによく散歩をするのですが、歩いていると、自然と頭の中でごちゃごちゃ考えていたことが整理されるんです。
——今後やっていきたいことは?
rafhoo
今までは依頼されて映像を作る機会が多かったのですが、個人作品としてのビデオアートをもっと多く制作し発表していけたらと思っています。