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「韓国文化通信」Vol.3 映像作家・rafhoo

今最も“要注意”すべき韓国のカルチャーを牽引するキーパーソンにインタビューし、その変化を定点観測していく本連載。第3回は気鋭の映像作家として活躍するrafhooさん。

photo: Hong Chahee / text: Keiko Kamijo / coordination: TOKYO DABANSA / translation: Kim Dejong

——rafhooさんは、いつ頃から映像を撮り始めていたのでしょうか?

rafhoo

高校の時に入った放送サークルで初めて動画撮影と編集に携わりました。でも、自分で映像を撮影し始めたのは高校卒業後。父からもらったカメラで友達を撮り始めて、そこで映像制作の楽しさを知りました。

——映像の撮影技術に関しては、どこかで学んだりしたのですか?

rafhoo

全然(笑)。小さな頃からファッションも好きだったので、今は大学のファッション科で学んでいます。映像は完全に独学で、いろいろな映像やビデオアートをディグって学んだ感じです。

——最近触れたカルチャーコンテンツで心に響いたものを教えてください。

rafhoo

ソウル独立映画祭で観た、チョ・ヒョンチョル監督の『너와 나(The Dream Songs)』(2022年)。撮影はHYUKOHのMVなども手がけるDQMさんが担当しているんですが、自然と人の感情を引き出していて、映像から生の感情が伝わってくるんです。

——韓国のインディーズ映画シーン、すごく興味があります。rafhooさんの映像は、物語性がありながらも少しずつ逸脱していくような感じが面白い。作品を例に映像制作のプロセスを教えていただいてもいいでしょうか?

rafhoo

どの曲の映像もそうなんですが、一つのキーワードを見つけるところから作業が始まります。AAAのMV「Antenna」の場合は「愛」でした。また、日常的なストーリーにツイストを加えるのが好き。「愛」とは言っても、人同士のものだけではなく周囲のものに対する愛もあると考え、想像を膨らませていきました。また、アンテナは電波をキャッチしますが、電波そのものの姿は目に見えないし形もないし、手には掴めない。愛も同じです。そうしたイメージを入れたいなと。

——「Antenna」は水を使った表現が面白く、すごく触覚的な表現でしたね。

rafhoo

水と霧を使った表現はすごく好きです。なぜなら、レイヤーが多いから。水の中、水の上、霧の中や外といったように、どこで撮るかによって全然違う表現ができるし、感じ方、伝わり方が変わるオブジェクトだからです。

——これからの韓国を面白くするキーパーソンを教えてください。

rafhoo

Balming Tigerのメンバーでもあるホン・チャンヒさん。彼はAAAのカバー写真のビジュアルも手がけていますが、先進的な表現を取り入れるのがうまくて尊敬できる友人の一人です。実は、今、彼と一緒に写真雑誌『The Foot Book』を制作中なので、楽しみにしてください。

——近年の韓国の音楽シーンで、面白いと思うことを教えてください。

rafhoo

K-POPのメジャーなところにサブカル系のアーティストが絡む実験的な試みが増えてきたのが面白い。代表的な例としては、NewJeansのプロデュースを250さんがしていたり、BTSのRMのアルバムをサン・ヤウンさん、JNKYRDさんらが手がけたり。K-POPとサブカルチャーが接近していて、次のフェーズに向かっているような気がします。

——ソウルで好きな場所は?

rafhoo

新道林というエリアに住んでいます。古い工業団地と再開発された新しい風景が入り交じっていて、近くに安養川が流れています。川沿いや工業団地をイヤホンもせずによく散歩をするのですが、歩いていると、自然と頭の中でごちゃごちゃ考えていたことが整理されるんです。

——今後やっていきたいことは?

rafhoo

今までは依頼されて映像を作る機会が多かったのですが、個人作品としてのビデオアートをもっと多く制作し発表していけたらと思っています。

rafhoo

今の韓国を定点観測するためにチェックすべき音楽、ファッション、映画

Music

SimoとJibinのアーティストユニット。
『y2k92』
SimoとJibinのアーティストユニット。ミュージシャン、パフォーマー、ラッパー、DJ、モデル、ライター等様々な芸術活動を行う。「予測不可能な音楽なんですが、バランスがとれている。今後も注目しています」。Instagram:@y2k92

Fashion

ソウルを拠点に活動するユニセックスブランド。デザイナーのチョイ・ジヒョン
〈JICHOI〉
ソウルを拠点に活動するユニセックスブランド。デザイナーのチョイ・ジヒョンは、ロンドンでファッションの学士号を取得後、2019年にブランドを立ち上げた。汝矣島にショールーム兼ショップ〈JIFTSHOP〉がある。Instagram:@jichoinet

Movie

『너와 나』
修学旅行を翌日に控えた女子高生セミとハウンの壊れそうな繊細な感情を丁寧に描いた物語。監督はドラマ『D.P.』等で俳優としても活躍し、本作が初長編監督作となるチョ・ヒョンチョル。英題「The Dream Songs」。2023年韓国公開。