——スタジオ名の「SUPERSALADSTUFF」の由来を教えてください。
チョン・ヘリ
海外旅行に行った時に「Soup or Salad」を「SUPERSALAD」と聞き間違えたことがきっかけでSNSのアカウントをずっと「SUPERSALAD」にしていて、それをそのまま名づけました。普段は、一人でデザインワークと自身のアートワークを出版する出版レーベルを運営しています。
——映像の撮影技術に関しては、どこかで学んだりしたのですか?
チョン
クライアントワークだったら、aespaの『Whiplash』のMVは個人的にもすごく気に入っています。個人作品だと、最近制作した本『불현듯 편지 한 장이 도착했다 A letter arrived out of the blue』です。この本は詩集で、4枚のカバーがかけられています。カバーの一枚一枚には詩が1編ずつ記されており、本文には、その詩の注釈が300ページにわたり、詩から派生したテキストが展開されます。
詩の内容もグラフィックデザイン用語で、それはいわば西洋からもたらされた言葉。私たちデザイナーは、西洋から来たデザイン用語を日常的に使っていますが、その言葉には無限の解釈があるんだということを示しました。
——幼少期からデザイナーになるまで、どんなものに囲まれて育ちましたか?
チョン
母親がクラシックピアノの先生だったので、早くから音楽には親しみがあって。レコードも多く、クラシックはもちろんジャズ、ヒップホップ、現代音楽、ノイズや実験音楽まで多様な音楽をボーダレスに聴いて育ちました。家のテレビからはMTVやNHKといった海外放送が流れていたので、自然と多様な文化に触れて育った気がします。デザインの勉強をし始めたのは、レコードジャケットからの影響だったので、今、音楽関係の仕事ができているのは嬉しいことです。
——これからの韓国を面白くすると思われるキーパーソンを教えてください。
チョン
好奇心旺盛なので、いろいろな人に興味があるのですが、最近自分も気になっている「時間」を作品で扱う美術家の오민(オ・ミン)の活動には注目しています。彼女の作品は音や動きの瞬間、つまり時間を見せてくれる。映像やパフォーマンスなどで表現される彼女の個人的な考えの幅を、多角的に眺めることができるような気がします。
——ご自身のクリエイティブについて、どんなことを大切にされていますか?
チョン
大きな目標を決めて進むより、自分の好きな活動を好きな人たちと持続できること、変わっていく世の中のように私も一緒に変わりながら続けていける環境を作ることを目指しています。
——韓国国内でよく行く好きな場所とその理由を教えてください。
チョン
大切な友人たちと行くなら、山よりは海が好き。中でも人が少ない釜山(プサン)の影島(ヨンド)や江陵(カンヌン)の静かな海辺に惹かれます。釜山の影島は石が波に削られてとても丸いので、波に押し流される時の音が美しく、聴いていると心が穏やかになります。江陵には鳥が多く、波打ち際を歩く鳥を見ていると時間を忘れます。一種の瞑想のようなものです。
——ソウルの魅力を教えてください。
チョン
ソウルは地域ごとに特色が異なるため、アンダーグラウンドの音楽文化が際立つ場所、新しいポップアップストアが次々と開かれる場所、展示スペースが密集している地域、金物店や木工所、製作所が集まっている古い場所など、地下鉄やバスで短い距離の間で多くの多様さを楽しむことができます。
——今後、近い将来やってみたいことを教えてください。
チョン
今は基本的に一人で作業をしているので、今後はもっと違う分野の人とコラボレーションする仕事や作品作りを増やしていけたらと思います。