——SUMINさんは幼少期、どんなカルチャーに触れてきましたか?
SUMIN
母親がピアノの先生をやっていたので音楽と接する機会が多かったかもしれません。大衆文化としての音楽に触れたのは、テレビのバラエティ番組の最後に必ず流れる人気のアイドルや歌手のMV。それが印象に残っています。
——自分から音楽を探し始めたのはいくつくらいの時ですか?
SUMIN
音楽をディギングして聴き始めるようになったのは、小学校6年から中学生くらいで、J-POPをめっちゃ聴いていました。GACKTやL'Arc~en~Ciel、X JAPANのHIDEのソロプロジェクト、安室奈美恵、椎名林檎、ORANGE RANGE……。当時BoAさんも日本と韓国を行き来しながら、旺盛に活動されていてよく聴いていました。これは日本の媒体だから言っているんじゃなくて、本当にお世辞じゃないです(笑)。
——SUMINさんは、音楽の専門教育を受けられていますが、曲を聴くと、専門的というよりはすごく親しみやすいポップな印象です。
SUMIN
学校は、実用音楽科というところで、様々な音楽のテクニックを学びましたが、私個人としては逆に計算されていない素朴な音に面白さを感じていました。食べ物や洋服なども、精巧だけどちょっと気が抜けたようなものの方が好きです。多くの人が聞いた瞬間に気持ちいい音楽、楽しくなる音楽を作るのをポリシーにしています。
——韓国の音楽シーンは、この数年どのように変化していると感じていますか?
SUMIN
K-POPと言っても、単に音楽だけでは語れなくなってきたような気がします。もちろん音楽は含まれますが、ミックスやプロダクション、MVやグラフィックデザイン等、すべてのレベルが上がってきているように思います。
その理由の一つとして、韓国人の根底にある「パリパリ 빨리빨리(速く速く)」精神があると思う。「魂をミキサーにかける」という言葉もあります。それは、自分の骨と血と汗と涙を全部入れて成し遂げるという意味。そんなふうに努力をした成果が、音楽シーン全体の底上げになっているんです。
——最近観たもので、印象に残っているものを教えてください。
SUMIN
AIの時代だからこそアナログなものに惹かれていて、フィルム映画に関心があります。映画『椿の庭』の特別試写会に参席しましたが、ストーリーの展開、製作方法、上田義彦監督の美しい画は不思議な気持ちにさせられました。私はきらびやかな仕事をしているように見えますが、内側にはアナログ感、ノスタルジーを感じるものを潜めています。韓国にもそういう雰囲気が好きな人は増えてきています。
——ソウルで行く好きな場所とその理由を教えてください。
SUMIN
1人でも行きますが、大切な人を連れていきたいのは、延禧洞(ヨニドン)にある〈コブラー 延禧 코블러 연희〉というバーです。お酒ももちろんおいしいのですが、シガーが吸えたり、レコードが聴けたりとテーマのある個室に分かれているのが落ち着ける。友達と一緒に行くなら、龍山(ヨンサン)のヴィーガンレストラン〈パーメンツ 퍼멘츠〉。グリーンも多く、日差しがキレイな店なので、友達とブランチするのにいい。
——ソウルの魅力は何だと思いますか?
SUMIN
ソウルで、日本ラーメンの店に入った時に、「どこにいるんだっけ?」という感覚に陥ったんです。いろんなカルチャーがごちゃ混ぜになって、ちょっとキモい感じ(笑)。でも、ほかの文化をチャンポンしながら新しい方向を作り上げていくのが、ソウルの面白さなのかなって思うようになりました。