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それぞれの“孤独のグルメ” 第5回:玉井詩織(第5話:新人熱波師・進藤由香里役)

『孤独のグルメ』は究極のリアリティドラマだ。主⼈公・井之頭五郎はもちろん。キャストやスタッフの⾷体験、現実に存在するお店やメニューはそのままドラマに刻み込まれる。2025年1月10日に公開する『劇映画 孤独のグルメ』に先駆け、特別編『それぞれの孤独のグルメ』の放送と配信を記念して、タイトルそのままにお話を聞いた、全7回の短期集中連載。第5回は玉井詩織(第5話:新人熱波師・進藤由香里役)。

text: Atsunori Takeda

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最近食べておいしかったものや、好きな食べ物について本当にうれしそうな顔で話す。そんな表情を見ると、なんだかこちらまで幸せな気持ちになる。玉井詩織はももクロ公式サイトのプロフィール欄で「趣味:食べること」と力強く宣言している。そしてそれはまぎれもない事実だ。ごはんは毎食本気で選び、一食たりとも無駄にしたくない。井之頭五郎とほぼ同一人物説も浮上する玉井詩織の「孤独のグルメ」とは。

外食の時は、ほぼ「孤独のグルメ」状態?

食事をする玉井詩織

私が外食するときの行動は、ほとんど五郎さんと同じなんですよ。まずお店選びに迷う。お店を決めたら、何を食べるかで迷う。

というのも、とにかくごはんを大事にしたいから。「●●でいいか」って思いたくないんです。「今一番何が食べたいか」をしっかり考えてから、自分の食べたい気持ちに忠実にお店を探す。メニューを見ながら脳内で独り言を言い、周りのお客さんが何を頼んでいるのかを観察して検討します。季節の限定メニューにも目を奪われますね。

でも、すごく大きな違いがあります。私は、ほとんどひとりでごはんを食べない、というところですね。ちなみにひとり旅もほとんどしません。というのも、「おいしい!」とか「楽しい!」っていう気持ちを口に出して共有するところも含めて、ごはんは(旅行も)魅力的だから。メニュー選びに対するこだわりの部分は、いつでも「孤独のグルメ」状態ですけど(笑)。

最近になって、ひとりでもごはんが食べられるようになってきたんですが、そんなときでも、やっぱり「おいしい!」は口に出してしまいます。あと、「いただきます」「ごちそうさま」は絶対!

「しっかり食べるってカッコいい!

私、「食べることが大好き」なんです。でも、ちっちゃい頃はむしろ苦手でした。今も別に大食いではないんですけど、小学校の給食の時間内に食べきれずに、みんなが掃除始めたときにも、一人で席に残って食べ続けてるような子でした。

食べることに意識を向け始めたのは、グループで活動するようになってから。グループ結成当初活動を一緒にしていたメンバーで、ものすごくおいしそうに、ものすごくよく食べる子がいたんです。それで、食べ物を大事にするのって実はカッコいいんだなって思うようになりました。ごはんは、食べている本人はもちろん、おいしく食べるのを見ているまわりの人も幸せにできるんだって気づいて、いつの間にか私も食べるのが大好きになっていました。

あと、家族でワイワイと食卓を囲むのが基本だったので、今も会話がごはんの大切な要素になっているんじゃないかと思います。

五郎さんぐらいの胃袋があれば「孤独」でも大丈夫

まあでも、そのほうが絶対いいと思うんですよ。だって、いろいろオーダーしてシェアした方があれもこれも食べられるじゃないですか!だから五郎さんの胃袋っていいなって思います。ひとりであれだけ追加注文して、いろんなメニューを味わえるなんて最高ですよね。

今回、「それぞれの孤独のグルメ」ですごいなあと思ったのは、食事シーンの撮影の時の松重豊さんとスタッフの方の打ち合わせですね。食べるメニューは決まっているんですけど、それだけだとちょっとドラマの尺が足りないと。それで、もう一品追加したいんだけどなぁ、って打ち合わせしてて。尺と松重さん自身のおなかと相談しながら、どれだけ食べるかを決めて撮影されているのを間近で見られて、感動しました。

私は第5話でサウナの熱波師の役で出演させていただいたんですが、劇中で食べた生姜焼き定食はめちゃくちゃおいしかったです。しっかりした味付けでごはんがすすむのはもちろん、お皿に乗ったマカロニサラダに、生姜焼きのタレがしみ込んだのがたまらないおいしさでした(笑)。

生姜焼き定食

どんな状況でもごはんへの真剣さは変わらない

今日、収録で食べた餃子がおいしかったですね。最近だと生牡蠣。低温調理でほぼ生の牡蠣にポン酢のジュレとか、レモンとディルとか、ちょっと辛いトマトカクテルみたいなやつを載せた3種盛りがおいしかった。あと、ホタルイカのしゃぶしゃぶ!

私は、その時の自分の口とピッタリ合う店やメニューを探して食べる、ということをできるかぎり実践していますが、常にすべてのごはんでそれが実現できるわけじゃないですよね。撮影やレコーディングなど、お仕事の状況に応じて、ごはんの状況も変わります。

十分に食事の時間が取れないときは、目に入ったお店にすぐ入ったり、テイクアウトのサービスを利用する場合もごく普通にあります。でも、それもまた幸せ。まったく変わらず、「だったら今私はこの状況の中で何が食べたいのか」ってしっかり迷って、きちんと食べたいものを見つけ出します。

こういうごはんへの力の入れ方が私なりの「孤独のグルメ」なんじゃないかと思います。そのときそのときの、自分にとっての一番を見つけ出そうという努力はつねにしていますね。「食べることが大好き」なのは、必ずしも豪華なグルメの話じゃないです。

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