Talk

Talk

語る

kiss the gambler、新作『私は何を言っていますか?』への弾みとなった人生の転機とは?

シンガーソングライターのかなふぁんによるソロユニット、kiss the gamblerがセカンドアルバム『私は何を言っていますか?』を発表。本人に曲作りの着想や、転機となった出来事について話を聞いた。

photo: Shu Yamamoto / text: Joe Kowloon

楽しさも、不安も、ポップに歌い上げる

「なんで 音楽なんかやってるの?」こんな率直な問いが歌詞になったのは、史上初かもしれない。シンガーソングライターのかなふぁんによるソロユニット、kiss the gamblerのニューアルバム『私は何を言っていますか?』の冒頭曲「ばねもち」の一節だ。アルバム全体を漂うのは、楽しくて、でも生きていく不安もあって……と揺れる心境。それでいて、歌は明るく人懐っこい。

「少し前に会社員を辞めました。人の様子を窺いながら適合していくのがずっとつらくて。だから今は解放感があるし、自分の考えていることも抑えないで曲にしてみようと思ったんです」

会社員時代に人前で歌い始めた。最初のライブはバーの片隅で客は友人だけだった。が、活動とともにファンは増え、昨年は全国ツアーも開催。

「意外といろんな場所で聴かれているみたいで嬉しいんです。東京生まれだけど、曲に東京の感じがしないからかも。というか、東京感は苦手。幼い頃、富山のおじいちゃんと虫を捕ったりした思い出とかの方が、曲には反映されているので」

本から着想を得て、曲作りをすることもある。

「最近は、依存症や愛着障害についての本をよく読みます。自分も含めて、周りに人間関係で苦しんでいる人が多くて。ただ、逆にそこまで踏み込んではいけないことも学びました。今はそういった悩みを曲にすることでまず自分が元気になり、聴いた人も心救われてくれたらいいなと」

アーティスト名には「芸術活動に賭けている人たち(=gambler)を愛し、応援する」という意味を込めたが、今や自分も立派なgamblerだ。

「悩みもあるけど、むちゃくちゃ青春してますね。ミュージックビデオでも、走るトラックの上でピアノを弾いたり、スカイダイビングをしたり、昔なら絶対できなかったことをしています。早くフェスとかも出たい。オファー来ないかな」

kiss the gambler