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〈セガ〉岸本守央の、思い出のゲーム。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』

ゲーマーを魅了してやまない名作の作り手が、どんなゲームで遊び、育ってきたのかを知りたい!〈セガ〉岸本守央さんを作り上げた思い出のタイトル、ゲーム作りの心構えについて尋ねました。

illustration: Shuichi Hayashida / text: Neo Iida

ゲームクリエイター:〈セガ〉岸本守央

林田秀一 イラスト
きしもと・もりお/大学卒業後に業務用ビデオゲーム開発を手がけ、開発メーカーを渡り歩く。2005年、サミーよりセガへ転籍。07年に自身初のコンシューマータイトルとして『ソニックと秘密のリング』を手がけた。22年の『ソニックフロンティア』ではディレクターに。

思い出のゲーム

ゲーム『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』
©SEGA

スピードで一点突破。世界を味方にした、ソニックに憧れた

業務用ゲームの開発をしていた頃、セガから『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』が発売されたんです。当時、イベント会場で1面だけ試遊したら、ポップでおしゃれでアプローチが変わっていて、あまりの面白さに驚きました。

当時、多くの会社が任天堂の『マリオ』シリーズみたいなゲームを目指して試行錯誤する中、彗星のごとく現れてスピードというルールにこだわり、一点突破で突き抜けた。例のぐるんとループするところなんて、ものすごく独創的じゃないですか。

しかも主人公のソニックはクールでカッコいい。気づいたら欧米でのキャラクター人気はマリオやミッキーと肩を並べるほどに。絶対王者に迎合せず、カウンターとして立ち向かう、そんなソニックに憧れました。特別な思い入れがあったので、のちに在籍していたサミーがセガと合併することになり、転籍話が出た時、「ソニックチームに入れるなら」と交渉しました。それで運良く本丸に潜り込めたんですよ。

そこから『ソニックフロンティア』を作るまでに15年以上かかりました。というのも、僕は転籍後、業務用ゲームで培った経験を生かそうとは一切考えませんでした。ソニックチームは、ソニックを作るのに長けている神レベルのチーム。その文化に馴染まなければベストな製品を提案することは難しいなと思ったんです。

ただ、それまでの会社は5年以内に呑み込めたんですが、セガでは吸収することが膨大で、自分なりの戦い方ができるなと思えるまで時間がかかりました。その結晶が『ソニックフォース』。そして次こそ勝負に出ようと思い、『ソニックフロンティア』でディレクターを務めました。大事にしたのはビジョンです。どんなビジョンかはゲームを遊んで気づいてもらえたら嬉しいです。

面白いゲームとはなんぞやっていつも考えてしまうんですよ。映画は観るだけ、小説も読むだけ、ジェットコースターも乗るだけだけど、ゲームは作中に自分の分身を置いて動かせる唯一のメディア。分身という武器を持つエンターテインメントなので、その頂点ってなんだろうといつも考えています。

僕は人をびっくりさせるのが好きだから、予想を常に裏切っていきたい。今はユーザーさんたちの偏差値も高くなっているので、裏切りつつ、期待以上のものを作りたいですね。

岸本さんの代表作

ソニックフロンティア(2022)

ゲーム『ソニックフロンティア』
©SEGA

ソニックと秘密のリング(2007)

ゲーム『ソニックと秘密のリング』
©SEGA