カメラでつながる、私と1秒“後”の彼女
チェン・ユーシュン監督の『1秒先の彼女』は、ワンテンポ早い男性と、ワンテンポ遅い女性のズレから生まれる奇跡のような一日を描いたハートウォームなファンタジーだったが、それを男女反転させ、舞台も台湾から京都に移し、宮藤官九郎が脚本を書き、山下敦弘が監督してリメイクしたのが、この夏公開の『1秒先の彼』だ。
その1秒早いハジメを演じるのは岡田将生、そして1秒遅いレイカを演じるのが、若手ながら日本アカデミー賞最優秀助演女優賞など数々の賞に輝く実力派の清原果耶だ。その清原にオリジナルを観た時の感想を聞くと、「普段あまりこういうジャンルの映画は観ないんですが、本当に綿密に作り込まれていて、美術も主演のお2人の雰囲気も可愛いですし、作品自体を素直に楽しめました」。
清原といえば、『おかえりモネ』など芯の強い女性を演じることが多かったが、今回はふわっとした役柄で、その感じが出せるように監督と現場で相談しながら役作りを行った。
「セリフの少ない役なんですが、黙っていたらふわっとするわけでもないし、寡黙すぎるとクールに寄ってしまって印象が違うということになるから、意識的にふわっとしよう、ふわっとしようって(笑)」
レイカは、いつもカメラを首にぶら下げている姿が印象的だが、「カメラ、重たいのに、ずっと肌身離さず身につけていて。レイカは表現が表に出やすい子ではないので、彼女の自己表現とか生きざまが、写真を撮ることに集約されているんですよね」。
大阪出身の清原も、京都弁には苦労しつつも、京都ロケはやはり魅力的だったようだ。
「なんて絵になる町なんだと思って。岡田さんが、オリジナルを観て台湾に行きたくなったとおっしゃっていて、逆にこの作品を観た人が京都に行きたいと思ってもらえたら」
今回、初めて宮藤の脚本に臨んだ清原だが、「機会があればぜひ挑戦したいです!」と意気込んだ。近いうちに、そんな作品もまた観られるかもしれない。その日が楽しみだ。