駅近の都市型水族館で世界の水辺を旅する
カワスイの「カワ」は川崎という地名だけじゃない。淡水の生き物を展示する「川・河」の意味も兼ねているのだ。ここは地元・川崎市を流れる多摩川からアジア、アフリカ、南米アマゾンまで、世界の水辺をテーマにした水族館。身近なメダカからピラニアのようなメジャーな種、さらに日本名がついていないマニアックな魚まで、全70水槽で約300種の水辺の生き物が観賞できる。
淡水魚は地味なイメージがあるが、熱帯魚のようにカラフルな魚や人気の古代魚、不思議な生態の魚など、その多彩さは驚くほど。個人では飼育しにくい大型の魚や珍しい種もいることから、専門家のアクアリストやマニアも常連に多いという。
単に淡水魚だけを展示する水族館ではないのは音や映像でもわかる。一歩足を踏み入れると鳥たちがさえずる音がして、気づかないうちに自然の中に没入しているのだ。また映像と水槽を組み合わせ、デジタルサイネージで楽しくその環境に誘うなど、新しい水族館ならではの工夫もたくさん。
アマゾンゾーンのジャングルではスコールや濃霧も再現され、現地の植物や鳥、カピバラといった陸上の生き物とともに自然の変化を感じることができる。さらに昼と夜(18時頃から)では照明や一部の展示内容が異なるのも見どころの一つだ。
開館当初はスマホからのAI解析による解説のみだったが、名前の難しい種の多い淡水魚だからこそ、現在はわかりやすい魚名板に替わり、子供も楽しめる手書きのポップや飼育スタッフ渾身の手作り顔ハメパネルの設置、ピラルクーやテッポウウオなどの人気種は飼育員解説を定期的に行うなど、一気に親しみやすさも加わった。
展示課リーダーの山本真人さんにおすすめの楽しみ方を聞いた。
「まずは魚の口に注目してみてください。魚は食べているものによって、口の向きが異なります。動物や人間は顔の正面にありますが魚は様々。上向きは水面より上の虫などを食べるもの、下向きは岩や木についた苔を食べたり、下顎が出ているのは砂の中の微生物を掘って食べるものなど、生きるための術(すべ)が詰め込まれているんです。体の一部を見比べていくのも、面白い見方だと思います」
JR川崎駅東口から徒歩1分、スーパーや家電量販店の入る商業ビル内という抜群のアクセス。ちょっとした時間にも行ける、水辺への旅はすぐそこに。