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井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第12回 めっちゃ最高ズ『最強で最高vol.5』

小説、俳句、短歌などを書く井口可奈が、訪れたお笑いライブを熱く語る連載、第12回。前回の「第11回『人ゴ』」も読む。

text: Kana Iguchi

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公演日: 4月20日
公演名: 『最強で最高vol.5』

めっちゃ最高ズ 最強で最高vol.5

めっちゃ最高ズを初めて観たとき、ハイテンションの限りを尽くすような漫才をめっちゃ最高だと思ったので、なるべくライブを観に行くようにしています。今回はめっちゃ最高ズが新ネタ4本かつゲスト6組とかなり豪華な布陣。

新ネタは4本ともとても面白く、見応えのあるものでした。進化していると感じたくだりは、めっちゃむつみが激しくボケて、それにおばた最高がツッコむだけではなく、漫才内コントの物語に乗っていくというところでした。めっちゃむつみはツッコミを受けて、おばた最高に反撃しおばたを動けなくします。そのあと、おばた最高は立ち上がり、めっちゃむつみを見えない大きな剣で打ち下ろすようにして漫才内コントの主導権を握り、主人公として語り始めます。そこにめっちゃむつみが反撃を図る。その文字通りの「殺し合い」は、互いの良さを「生かし合う」ことでもあって、2人は舞台上を駆け回り、とても輝いていました。

全員集合したエンディングではめっちゃむつみの芸人としての特性が面白く出ていていいなと思いました。めっちゃむつみは自分の女性らしさを隠さず、水中トリックの大原さんに好き好きと言ってみたり、自身を心配される場面があると「むつみが女の子だから?」などと言ってみせたりします。それが嫌みではなく本当にそう思うからこそ出る言葉であったり、うまくジョークとして流れるようにふるまっているうまさを見ていると、彼女の女芸人としての異才をしみじみ感じます。

ゲストではデッサンビームのネタが良く、もはや説明できない次元を利用したボケがFANのねっとりとした感情を滲み出させていてこころがぐちゃぐちゃになり、蛇口捻流の引き気味なツッコミにも笑わされて特に好みでした。

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