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井口可奈のお笑いライブ偏愛日記:第9回『脳内漂流サミットーかが屋 加賀の夢』

小説、俳句、短歌などを書く井口可奈が、訪れたお笑いライブを熱く語る連載、第9回。前回の『具志堅咆哮祭』も読む。

text: Kana Iguchi

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公演日:2月3日
公演名:『脳内漂流サミットーかが屋 加賀の夢』

にじのたそがれ『脳内漂流サミットーかが屋 加賀の夢』

脳内漂流?サミット?加賀の夢?ぜんぶの言葉がわからないままに興味のまま、気がつけばチケットを予約していました。

最初にかが屋加賀が舞台に布団を敷いて眠り、タイマーが鳴るまで起きてはいけないと指示されるところからライブは始まりました。

途端に舞台に飛び出してくる虹の黄昏。40歳を越える2人が大暴れして、舞台から飛び降りたり、(作りものの)うんこを投げたりと暴走に次ぐ暴走!そこにほかの芸人たちが加勢して、舞台上が芸人さんだらけになり、あちらこちらで笑いの嵐が起こります。怪奇!YesどんぐりRPGがギャグで場を盛り上げ、TCクラクション坂本が登場してからはツッコミ不在だった舞台にさらに活気が生まれ、虹の黄昏の勢いで魅せるボケの連発が舞台を華やかにします。こんなにくだらないことをやっても動きやタイミングの妙で面白いと思わせる力量に驚きを隠せません。

ピーターパンウンコローム秩序の笑いをとっていく速度があまりに速く、特に森本サイダーの免許証を客席に投げるという行為はお笑いの範囲を拡大するもののように思えました。ユビッジャ・ポポポーの淡々と自分のお笑いをやり続ける姿勢も悪い予感を増していて良かったです。

アラームが鳴ると芸人はみな去り、これは加賀の夢だったのだということが明かされます。マザー・テラサワによる加賀の夢に登場した各芸人の表す加賀の深層心理の解説でライブは終わります。

何を見たかというより何を体験したかということを考えました。夢の世界は不可解で楽しいものでした。

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